年齢を重ねると「声がかすれる」「長く話すと疲れる」「聞き返されることが増えた」などの声の悩みを感じる方が増えてきます。

ですが、それは“老化現象”として受け入れるしかないのでしょうか?

実は、声の老化には「使わなくなった筋肉」や「呼吸の浅さ」が大きく関係しています。

つまり、正しい方法で声を出す練習=ボイストレーニングをすれば、何歳からでも声は若返る可能性があります。

本記事では、高齢者の方でも無理なく続けられるボイストレーニングの基本と簡単なエクササイズを、具体的にご紹介していきます。

 

声が出にくくなる原因とは?

大阪市 小谷ボイストレーニング教室のレッスン風景声が出にくくなる背景には、主に次の3つの要因があります。

声帯の筋力の低下

声帯は、喉にある2枚の筋肉(声帯筋)で構成されており、息が通る際に振動することで音を生み出します。

この声帯筋も他の筋肉と同様に、年齢とともに衰えやすく、特に使う機会が減ると萎縮してしまいます。

加齢によって筋肉量が減少し、声帯がしっかり閉じられなくなると、息漏れの多い「かすれ声」や「弱い声」になりがちです。

また、声帯の表面が乾燥しやすくなることも影響し、振動が不安定になって声が震えたり、途切れたりすることもあります。

こうした声帯筋の衰えは、気づかないうちに進行するため、日常的に会話や発声をしていない高齢者の方ほどリスクが高くなります。

呼吸筋の衰え

呼吸筋とは、横隔膜や肋間筋、腹筋群など、呼吸を支える筋肉の総称です。

これらの筋肉は息を吸ったり吐いたりする際に重要な働きをしており、発声時には特に「息をコントロールする力」として使われます。

しかし、年齢とともにこれらの筋肉が衰えると、呼吸が浅くなり、十分な息を保てなくなります。

息がしっかり吐けなくなることで、声に必要な圧力が足りず、「弱々しい声」「すぐに息が切れる」といった状態になりやすくなります。

また、日常生活であまり身体を動かさなくなると、呼吸筋も自然と使われなくなり、機能低下が進行しやすくなります。

呼吸筋の衰えは見えにくい変化ですが、声の土台となる息の力が弱まることで、発声全体に影響を及ぼします。

声を使う機会が減る

声も筋肉と同じように、使わなければ徐々に衰えていきます。

特に高齢になると、仕事を退職したり、家族との会話が減ったりして、日常的に声を出す機会が大幅に減少する傾向があります。

この「声を使わない状態」が続くと、声帯やその周辺の筋肉が十分に動かされなくなり、柔軟性や反応の速さが低下していきます。

さらに、滑舌を支える口周りの筋肉や舌の動きも鈍くなり、言葉が出にくくなったり、モゴモゴした話し方になったりすることがあります。

また、声を使う頻度が減ると呼吸のリズムも浅くなり、発声に必要な息の圧力を維持する力も衰えてしまいます。

このように、声を出すという行為を習慣として行わなくなることが、声全体の機能低下につながっていくのです。

 

高齢者の方でも安心してできるボイストレーニングの特徴

身体への負担が少ない

高齢者向けのボイストレーニングは、何よりも身体への負担が少ないことが大きな特徴です。

若い人のように大きな声を出したり、長時間の練習を行ったりする必要はありません。

基本は「ゆっくり・やさしく・短時間」で、日常生活の中でも無理なく取り入れられる内容で構成されます。

たとえば、深い呼吸や軽い発声練習などは、座ったままでも行うことができ、関節や筋肉に負担をかけずに実施可能です。

また、発声の際に喉に無理な力を加えないよう配慮されているため、喉を痛めたり疲れたりするリスクも低くなります。

このように、身体の状態に合わせて無理のない範囲で進めることができるのが、高齢者の方でも安心して取り組めるボイストレーニングの大きな魅力です。

呼吸・姿勢・声の順に整える

高齢者向けのボイストレーニングでは、「いきなり声を出す」のではなく、まずは呼吸と姿勢を整えることから始めるのが基本です。

年齢とともに呼吸が浅くなり、姿勢も前かがみになりやすくなるため、声を出す前にこの2つを改善することが重要です。

呼吸は横隔膜や肋骨周りの動きを意識しながら、ゆっくり深く行うことで、発声に必要な息の土台が整います。

姿勢は、背筋を無理なく伸ばし、胸を軽く開くことで、呼吸と声の通り道がスムーズになります。

この「呼吸→姿勢→声」という順番で整えることで、喉に無理をかけず、体全体を使った自然な発声が可能になります。

とくに高齢者の方にとっては、声だけでなく身体全体の機能も意識しながらトレーニングを行うことが、安全で効果的な声づくりにつながるのです。

続けやすいシンプルな練習

高齢者向けのボイストレーニングでは、複雑なテクニックや難しい課題よりも、誰でも無理なく続けられる「シンプルな練習」が重視されます。

たとえば、深呼吸や「あー」と声を出すだけの基本的な発声、ゆっくりと「パ・タ・カ・ラ」と言う練習など、短時間で行える内容が中心です。

こうした練習は、1日5〜10分程度でも効果があり、継続することで確実に声の変化が感じられます。

また、動きが少ないため、体力に自信がない方や足腰に不安がある方でも安心して取り組めるのが特長です。

「覚えることが多すぎて続かない」「難しくて疲れる」といった不安が少なく、日課として取り入れやすい内容であることが、習慣化の鍵となります。

継続しやすい環境を整えることが、声を若返らせる第一歩です。

 

声を若返らせる!簡単ボイストレーニングエクササイズ

以下に、実際に行えるエクササイズを3ステップで紹介します。

ステップ1:呼吸エクササイズ〜まずは息を深くする〜

【やり方】
1. 椅子に腰かけ、背筋をまっすぐに
2. 鼻からゆっくり息を吸う(約4秒)
3. 口をすぼめて「スーーー」と細く吐く(できるだけ長く)

【ポイント】
・お腹を意識しすぎず、背中がふわっと広がる感覚で
・吐く息が長くなればなるほど、呼吸筋が鍛えられます

【効果】
・呼吸が深くなり、声の持久力が上がる
・嚥下機能や咳反射の改善にもつながる

ステップ2:発声エクササイズ〜声帯をやさしく鍛える〜

【やり方】
1. 「あーーー」と小さな声で10秒ほど伸ばす
2. 喉に力を入れず、口の中に響かせる感覚を大切に
3. 慣れてきたら「いー」「うー」など母音を変える

【ポイント】
・無理に大きな声を出そうとしない
・頭のてっぺんに声が抜けていくようなイメージで

【効果】
・声帯の筋力が少しずつ回復する
・こもった声がクリアになる

ステップ3:表情筋トレーニング〜滑舌と笑顔力アップ〜

【やり方】
1. 「パ・タ・カ・ラ」をゆっくり大きく発音する(各10回)
2. 口をしっかり動かすことを意識する
3. 最後に「いー」と口角を上げて10秒キープ

【ポイント】
・口を「大きく動かす」ことで効果が出ます
・早口より、はっきり丁寧にがコツ

【効果】
・滑舌が改善し、聞き取りやすい声に
・口周りの筋肉がほぐれ、自然な笑顔が増える

 

日常生活で声を保つちょっとした習慣

トレーニングだけでなく、普段の生活でも声の健康を意識することが大切です。

朝の「おはよう」を大きく言う

「おはよう」を朝にしっかり声に出すことは、声帯のウォーミングアップとして非常に効果的です。

寝起きの状態では、体も喉もまだ十分に目覚めておらず、声がかすれたり出しづらくなったりすることがあります。

そこで、朝一番に少し大きめの声で「おはよう」と言うことで、声帯にやさしい刺激を与え、発声の準備運動になります。

これは筋肉を伸ばすストレッチと同じで、無理なく声帯を動かすことで、1日の発声をスムーズにしてくれます。

また、家族とのあいさつをきっかけに自然と会話が生まれ、声を使う時間も増えるため、日常の中で無理なくトレーニングができます。

特に高齢者の方にとっては、「日常のあいさつを習慣化する」だけでも、声を保つための立派な一歩になります。

新聞を音読する

新聞を音読することは、声の健康維持に非常に効果的な習慣です。

音読をすると、呼吸・発声・滑舌といった「声を出すための要素」をすべてバランスよく使うことができ、自然なトレーニングになります。

特に文章を読み進めながら息継ぎをすることで、発声に必要な呼吸のタイミングも鍛えられます。

また、口を大きく動かして読むことで表情筋や舌の動きも活性化し、滑舌の改善にもつながります。

1日1段落でも良いので、無理のない範囲で継続することが大切です。

内容のある文章を読むことで脳への刺激にもなり、認知機能の維持にも効果があると言われています。

新聞が難しければ、好きな小説や童話でも構いません。

毎日の「声出し習慣」として、音読はとてもおすすめの方法です。

歌を口ずさむ

歌を口ずさむことは、気軽にできる発声トレーニングのひとつです。

大きな声を出す必要はなく、自分の好きな曲を小さな声でハミングするだけでも、声帯に適度な刺激が加わり、声の感覚を保つことができます。

特にメロディに合わせて息をコントロールする動きは、自然と呼吸筋を使うため、発声に必要な「息の支え」を養うのにも効果的です。

また、歌詞を覚えたり、リズムに乗ったりすることで脳への刺激にもなり、心も前向きになります。

テレビやラジオから流れてくる音楽に合わせて気軽に口ずさむだけでも十分です。

音程や歌唱力を気にする必要はまったくありません。

大切なのは、声を出すことを毎日の習慣にすること。

歌を楽しむ気持ちが、自然な声のトレーニングにつながります。

口呼吸より鼻呼吸を意識

声を保つうえで、口呼吸よりも鼻呼吸を意識することはとても重要です。

口呼吸をしていると、喉が乾燥しやすくなり、声帯も乾いて傷みやすくなります。

特に高齢者の方は唾液の分泌量が減る傾向があり、乾燥による声のかすれや喉の違和感が起こりやすくなるため注意が必要です。

一方、鼻呼吸は空気が鼻腔を通ることで自然に加湿・加温され、喉や声帯への刺激をやわらげてくれます。

また、鼻呼吸を意識することで呼吸が深くなり、腹式呼吸にもつながりやすくなります。

日中だけでなく、睡眠時も鼻呼吸を心がけると、声のコンディションを良好に保つ助けになります。

日常のちょっとした意識の積み重ねが、声を守る大きな力になります。

 

高齢者の方がボイストレーニングを続けるためのコツ

無理をしないこと

高齢者の方がボイストレーニングを続けるうえで最も大切なのは、「無理をしないこと」です。

体調や気分に波があるのは自然なことですので、「今日は声が出にくい」「疲れている」と感じた日は、思いきって休むことも大切です。

無理に声を出そうとすると、喉に負担がかかり、かえって声を痛めてしまう可能性もあります。

また、年齢とともに回復にも時間がかかるため、「できる範囲で少しずつ」を心がけることが長続きのコツです。

1日5分だけでもいい、という気持ちで取り組むことで、精神的な負担も減り、トレーニングが生活に馴染みやすくなります。

続けることが何よりの効果につながるため、「頑張りすぎないこと」が、結果的にいちばんの近道となります。

 一緒にやる仲間がいると続く

ボイストレーニングは、一人で黙々と続けるよりも、誰かと一緒に取り組むことで継続しやすくなります。

家族や友人、地域のサークルなどで一緒に声を出すことで、「楽しい」という気持ちが生まれ、トレーニングが習慣になりやすくなります。

特に高齢者の方にとっては、誰かと会話をする、声を出して笑うといった行為自体が、心の健康や生活の活力にもつながります。

また、仲間と励まし合ったり、成果を共有したりすることで、やる気を維持しやすくなるのも大きな利点です。

「今日も一緒にやろう」「最近声がはっきりしてきたね」などの声がけが、お互いのモチベーションにもなります。

楽しみながら続けるためには、仲間の存在が何よりの支えになります。

録音して変化を楽しむ

自分の声を録音して聞いてみることは、ボイストレーニングを続ける大きなモチベーションになります。

日々の練習では少しずつの変化しか感じにくくても、録音して比べてみると「以前より声がはっきりしている」「発音が滑らかになった」など、客観的な成長が実感できます。

このような“気づき”は、自信にもつながり、「もう少し続けてみよう」という前向きな気持ちを生み出します。

録音はスマートフォンやボイスレコーダーで簡単にできるので、特別な機材も不要です。

月に一度でも記録を残しておくと、後で振り返る際に成長の軌跡が見えてきます。

自分の声と向き合うことは少し恥ずかしいかもしれませんが、それが大きな励みとなり、継続の力になります。

 

まとめ:声は年齢に関係なく、鍛えれば変わります

大阪市 小谷ボイストレーニング教室のレッスン風景高齢になると「もう今さら…」と感じる方も少なくありません。

ですが、声は筋肉です。正しくトレーニングすれば、何歳からでも若返ることが可能です。

・深い呼吸
・無理のない発声
・丁寧な口の動き

これらを少しずつ習慣にしていけば、「最近、声が聞き取りやすくなったね」と言われる日もきっと来ます。

声が変わると、気持ちも前向きになり、人とのコミュニケーションも広がります。

さあ今日から、無理なくできるボイストレーニングを始めてみませんか?

 

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大阪市 小谷ボイストレーニング教室のレッスン風景

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