「最近、以前より声が出にくくなった気がする」
「歌っていると途中で息が切れてしまう」
「音程がふらつくようになった」

そんなふうに感じることはありませんか?

年齢を重ねると、身体と同じように“声”にも変化が訪れます。

けれど、それは「老い」ではなく、「体の使い方」が変化してきたサインです。

この記事では、「最近、声が出しづらい」と感じている方に向けて、声の変化の原因と対策、体に無理のないカラオケの楽しみ方を、“息の使い方”の観点からご紹介します。

 

声が出にくくなる原因は“息の力の弱まり”にある

年齢を重ねていくと、「声が以前のように出ない」「声がかすれる」「長いフレーズを歌いきれない」といった変化に気づく方が多くなります。

こうした声の変化にはさまざまな要因が関係していますが、最も見落とされがちで、かつ本質的な原因の一つが、「息の力の弱まり」です。

声は“息”から始まる

そもそも私たちの声は、次のような流れで生まれます。

1. 息を吸う

2. 吐く息が声帯に当たって振動を起こす

3. 振動した音が、喉や口・鼻の空間で響く

この中で「声そのもの」を生み出しているのは、吐く息によって声帯が振動する瞬間です。

つまり、息の力は、声のエンジンのような役割を担っているのです。

どんなに良い音色の声を持っていても、息の力が弱ければ、その音は生まれません。

車で言えば、エンジンが動かない状態と同じです。

いくらアクセルを踏んでも進まないように、息がしっかり出てこなければ、声も前に進みません。

高齢になると“息のエンジン”が弱ってくる

年齢とともに、体の筋肉が弱くなるように、呼吸に使う筋肉も徐々に衰えていきます。

とくに以下のような変化が、息の力を低下させてしまいます。

1. 横隔膜や肋間筋などの呼吸筋の衰え

呼吸をするときに使われる筋肉には、胸の間にある肋間筋や、肺の下にある大きな筋肉「横隔膜」などがあります。

これらは目立たない存在ですが、実は息を吸ったり吐いたりする上で非常に重要な働きをしています。

年齢とともにこれらの筋肉の働きが弱まると、深く息を吸えなくなったり、吐くときに必要な勢いが出なくなってしまいます。

2. 肺の弾力性の低下

肺もまた“筋肉”ではありませんが、年齢とともに弾力性が減り、しっかりと空気を吸い込みにくくなります。

若いころは、吸った息をスムーズに吐き出せましたが、年齢とともに「吸ってもすぐに息が出てしまう」「吐き続けられない」と感じることが増えます。

このように、吸う力と吐く力の両方が弱まってしまうのです。

息の力が弱まると、どんな声のトラブルが起きるのか?

息が続かず、途中で声が切れる

歌の途中で息切れしてしまったり、会話中にすぐに息を吸い直さなければならなくなるのは、息を長く支える力が弱くなっているサインです。

フレーズの後半になると、息がなくなり、声がかすれてしまったり、リズムが崩れたりすることもあります。

息の勢いが不安定で、声が震える

吐く息の勢いが安定しないと、声もぐらつきやすくなります。

たとえば、声のボリュームが勝手に上下したり、語尾が震えたりするような現象です。

これは、息のコントロール力が落ちてきている証拠です。

声帯がしっかり振動せず、かすれ声になる

声帯は、適度な圧力をもった息が当たることで、ピタッと閉じて振動します。

ところが、吐く息の力が足りないと、声帯が完全に閉じきらず、隙間ができてしまいます。

この状態では声がスカスカになり、かすれたような音になります。

特に朝や、長時間声を使った後に「かすれて出にくくなる」と感じる方は、息の力が不安定になっている可能性が高いです。

フレーズの後半で音程が下がる

歌っている途中でピッチが下がる、という現象も息の弱まりが関係しています。

息が十分に支えられていないと、声帯の振動が不安定になり、音程がキープできません。

フレーズの最初はなんとか音が合っていても、終わりに向かって「下がってしまう」というケースは、特にご高齢の方に多く見られます。

息の力は“声の支柱”である

このように、「息の力」は、声の土台であり、柱です。

喉や口、声帯そのものに異常がないように見えても、「息の柱」がグラグラしていれば、どんなに立派な声でも安定して出すことはできません。

反対に言えば、声が出にくくなったとき、「喉のせいかな?」と疑う前に、「最近、深く息を吸えているか?」「しっかり吐ききれているか?」と、自分の呼吸を見直してみることがとても大切なのです。

声の問題を根本から改善するには、「喉の治し方」ではなく、「息の立て直し」が鍵になります。

 

喉に頼らず、「息を整える」ことが声の改善につながる

「声が出しづらい」と感じたとき、多くの方は「喉の問題では?」と考えがちです。実際、声がかすれたり、高音が出にくくなったりすると、喉に意識が集中してしまいます。

しかし実は、喉ばかりを頑張らせてしまうことが、かえって声のトラブルを引き起こす原因になることが多いのです。

大切なのは、喉でがんばるのではなく、体全体で「息を整える」こと。

特に“息の安定感”が増すと、それだけで声がぐっと出しやすくなります。

呼吸とは、肺や横隔膜だけでなく、背中、腰、下腹部、肋骨まわりなど、全身を使って行う全身運動です。

そしてこの「息を整える力」こそが、年齢を重ねた声に必要な“支え”になります。

そのために、次の3つのポイントを意識してみましょう。

1. 息の吸い方を見直す

高齢になると、知らず知らずのうちに呼吸が浅く、速くなっていきます。

とくに日常生活では、肩を上下させるような浅い胸式呼吸がクセになってしまっている方も多いです。

この状態では、体に十分な空気が入りづらく、声を出すときにもすぐに息切れしてしまいます。

そこでおすすめしたいのが、「背中を広げるように息を吸う」呼吸です。

これは、吸うときにお腹を無理にふくらませるのではなく、背中側の肋骨や腰回りがふわっと広がる感覚を大切にする方法です。

このとき、肩や胸に力が入らないように注意しながら、背中の奥まで空気を入れるようにゆっくり吸います。

まるで風船を背中の中で膨らませていくような感覚です。

この呼吸を繰り返すことで、肺の下部までしっかりと空気が入りやすくなり、息の持続力がアップします。

また、呼吸が深くなることで、全身の緊張もゆるみ、リラックスして声を出しやすくなります。

2. 息を吐く筋肉を鍛える

「息が続かない」「途中で声がふらつく」と感じる方の多くは、“息を吸う力”ではなく“吐き出す力”が弱くなっているケースが多いです。

実際、声を出すときに必要なのは、「吸った息を、いかにムダなくコントロールしながら吐けるか」です。

この「吐く力」を支えているのが、横隔膜、腹横筋、肋間筋などの呼吸筋です。

これらの筋肉は加齢とともに衰えていきますが、無理なく少しずつ鍛えることで、息を吐く力とコントロール力が戻ってきます。

たとえば、空のペットボトルをゆっくりと吹くトレーニングなどは、体に負担をかけずに呼吸筋を活性化させる良い方法です。

最初は5〜6秒かけて息を吐くことから始め、慣れてきたら10秒、15秒と徐々に時間を延ばしていくことで、自然と息の持続力が高まります。

また、息を吐く力がついてくると、フレーズの最後まで声がしっかり届くようになり、音程の安定や言葉の明瞭さにも好影響を与えます。

3. 下腹部(丹田)を意識する

声を支えるために最も重要なのが、「下腹部の意識」、すなわち“丹田”と呼ばれる身体の中心に近い部分の感覚です。

丹田とは、おへその少し下、下腹の奥のほうにあるとされる“力の集まる場所”。

古くから武道や呼吸法、発声の世界で重視されてきたこの部位は、実際、体幹を安定させたり、深い呼吸を支えたりする役割を担っています。

この丹田に意識を向けながら、そこから声を“持ち上げる”ように発声すると、喉だけに頼らず、体全体で声を支えることができるようになります。

「丹田から声を出す」とは、イメージとしては――

  • お腹の奥からフワッと風船を持ち上げるように
  • お腹の中心から湧いてくる息に声を乗せていくように

という感覚です。

この感覚がつかめるようになると、声が自然と前に飛びやすくなり、無理のない響きと張りが出てきます。喉への負担も大幅に減り、長く歌っても疲れにくくなります。

また、丹田を意識して声を出すことで、身体の重心が安定し、姿勢も整いやすくなるため、結果として呼吸全体の質が向上します。

 

息の力を高めるためのやさしいエクササイズ

背中を広げる呼吸法

  • 椅子に浅く座り、背筋を軽く伸ばす
  • 背中側が広がるようなイメージでゆっくり息を吸う
  • 「はぁ〜」とため息のように長く吐く
  • これを1分ほど繰り返す

お腹の奥から声を出す発声練習

  • ゆっくり息を吸って、下腹部に意識を集中
  • 「あー」と軽く声を出す(お腹から声を持ち上げるような感覚)
  • 喉に力が入らないよう注意

ペットボトル息トレーニング

  • 空の500mlペットボトルを口でくわえる
  • 10秒以上かけてゆっくり息を吹き込む
  • 1日3回ほど繰り返す

 

よくある誤解:その「息の使い方」、逆に疲れる原因かも?

お腹を膨らませすぎると逆効果

「お腹を膨らませる」のではなく、やさしく支えるような使い方が効果的です。

喉に力を入れて声を出す

喉だけで頑張ろうとせず、息の力で声を押し上げることが大切です。

原曲キーにこだわりすぎない

今の自分の声に合った高さに調整することで、ラクに楽しく歌えます。

 

息の使い方を整えると、歌のすべてが変わる

  • 話すように歌うと喉が楽になる
  • 歌詞の区切りで深く息を吸うと、声が安定する
  • 前奏中に体をゆらしてリズムをとると歌いやすくなる
  • 姿勢を整えると、息がスムーズに流れる
  • 足をしっかり床につけると体の安定感が増す
  • 顎の位置に気をつけると、声の通りがよくなる

 

まとめ:年齢に関係なく、“息の整え方”で声はよみがえる

声は年齢とともに変わっていきますが、使い方を整えれば、いつでも取り戻せます。

大切なのは、「喉で無理に出す」のではなく、「息を整えて、体で支える」こと。

カラオケは楽しむもの。うまく歌うよりも、“自分らしく、気持ちよく”声を出すことを大切にしていきましょう。

 

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