「歌を歌うと、すぐに息が切れてしまう……」

「昔は最後まで歌い切れたのに、今はサビに入る前から苦しくなってしまう……」

そんな悩みを感じたことはありませんか?

特に年齢を重ねてから「息が続かない」「長いフレーズを歌うのがきつい」と感じる方は多くいらっしゃいます。

友人とのカラオケでも、好きな曲の途中で声が苦しそうになったり、「前より体力が落ちたのかな」と落ち込んだり……。

ですが、その「息切れ」は単なる年齢や体力の衰えだけが原因ではありません。

実は、ほんの少し呼吸や身体の使い方を見直すことで、年齢を問わず歌が楽になり、再び“気持ちよく歌い切る喜び”を取り戻せるのです。

この記事では、「息が続かない」根本原因を解説し、改善への本質的なヒントや高齢者の方でも無理なく取り組める考え方・練習指針をお伝えします。

「歳だから仕方ない」とあきらめる前に、声のメカニズムと向き合いながら、“根本から”歌を変えていく第一歩を一緒に踏み出しましょう。

 

なぜ息が続かない?声帯振動の不安定さと加齢の関係

歌を歌うと息が続かなくなる理由は、実は「声帯の振動が不安定になる」ことに大きく関係しています。

では、なぜ年齢を重ねるとその不安定さが増してしまうのでしょうか?

声の仕組みと呼吸の役割

人間の声は、「声帯」という二枚のヒダが振動することで生まれます。

この声帯の振動を生み出しているのが“呼気(吐く息)”の流れです。

しっかりと安定した息が下から供給されることで、声帯がスムーズに振動し、クリアな声を出すことができます。

しかし、ご高齢になるとさまざまな身体的変化が起こり、この“息の流れ”と“声帯の支え”が不安定になりやすくなります。

呼気筋(丹田)の低下がもたらす影響

年齢を重ねると、お腹まわりや背中、骨盤まわりの筋力(体幹・呼気筋)が弱まりやすくなります。

呼気筋がうまく働かないと、息をゆっくり・一定に吐き続ける力が不足し、声帯への息の流れが「断続的」になってしまうのです。

その結果、声帯が安定して振動できず、声がかすれたり、ブレたり、途中で息切れを感じやすくなります。

姿勢の崩れによる呼吸効率の低下

ご高齢になると背中が丸くなりやすく、胸郭や腹部が圧迫されがちです。

この姿勢の崩れは、横隔膜や肋間筋の動きを妨げ、呼吸全体を浅く・不安定にします。

体幹の支えが弱まり、背中を広げる余裕がなくなると、呼吸が胸式になり、浅く速い呼吸へと偏りがちです。

このような身体の状態が続くと、歌の最中に“息が持たない”状態になってしまいます。

喉声・浅い呼吸による息のムダ遣い

体幹で息を支えられない場合、声を出すときに「喉だけで頑張ろう」とする癖がつきます。

喉声の発声では、息の勢いで無理やり声を押し出そうとするため、短いフレーズでも大量の息が消耗されてしまいます。

この“息のムダ遣い”によって、いざ大事なフレーズやサビで「息が足りない」という状況になりやすくなります。

吸いすぎによる苦しさの悪循環

息切れを感じて「もっと吸わなきゃ」と思い込み、必要以上に息を吸い込む方も多いのですが、

実際には胸や肩が緊張し、かえって吐き出すときのコントロールが効かなくなります。

結果として、声帯の振動がブレたり、余計な力みが生じて息切れが悪化する――という悪循環も高齢者の方には多い傾向です。

 

息切れを根本改善するための発声基礎の見直し

息切れを根本から改善するには、「発声の基礎」を見直すことが何より大切です。

単に“テクニック”でしのぐのではなく、身体全体で安定して息を送り続ける土台を整えることがポイントです。

姿勢を整える

発声の基礎は、まず“呼吸しやすい姿勢”をつくることから始まります。

骨盤の上に自然に上体が乗る感覚、背中が広がるイメージ、肩や首に余計な力みがない――

こうした姿勢が保てるだけで、横隔膜や体幹の筋肉が働きやすくなり、深く安定した呼吸が可能になります。

「吐く」感覚のトレーニング

多くの方が「吸う」ことばかりに意識を向けがちですが、本当に大事なのは「吐く」力のコントロールです。

体幹・呼気筋(特に丹田まわり)で息をじわっとコントロールし、無駄なく吐き続けられる感覚を身につけることで、

声帯に一定の息の流れが供給され、安定した声の土台となります。

無理に声を張らず、「響き」で声を伝える

年齢とともに、無理に大きな声を出そうとすると、かえって喉や肺に負担がかかります。

重要なのは、声を「響き」に乗せて伝えることです。

丹田で支えた息を、口腔・咽頭腔で響かせることで、力みなく声が遠くに届きやすくなります。

息の“配分”を意識した歌唱

フレーズの最初から全力で息を使わず、どこで息を継ぎ足すか、どのくらいの息で歌い切るか――

息を計画的に配分する意識が、息切れ防止には欠かせません。

滑舌と「伝える意識」を優先

声量よりも滑舌や言葉の響きを意識することで、無理に大きな声を出さなくても歌が伝わります。

この「伝える意識」が、結果的に息の無駄遣いを防ぎ、安定した歌唱を助けます。

 

根本改善にこだわる私の考え方

発声や歌の指導において、よく「腹から声を出して」「もっと大きく吸って」といったアドバイスが繰り返し使われています。

しかし私自身は、このような一時的なテクニックや形だけのコツには、根本的な意味での改善力はないと考えています。

なぜなら、これらのアドバイスは“表面的な変化”を一時的にもたらすことはあっても、「なぜうまくいかないのか」「なぜ息が続かないのか」といった本質的な問題には迫れていないからです。

たとえば、「腹から声を出す」と意識しても、実際にはお腹周りや丹田(体幹)の“使い方”や“感じ方”がわからないまま、腹部に無理な力を入れてしまう人が大半です。

「大きく吸えばいい」と言われれば、肩や胸を大きく動かして息を吸い込み、逆に体を硬くしてしまう。

こうした状態でどれだけ練習を重ねても、どこかで必ず“力み”や“息のムダ遣い”が再発し、喉の負担や息切れ、声帯の不安定さといった悩みが繰り返されるのです。

本当に必要なのは、単にテクニックや方法論を足すことではありません。

それよりもまず、自分自身の“今の身体”としっかり向き合い、「声を生み出す仕組み」「息を支える土台」をゼロから見直すことが不可欠です。

特にご高齢の方の場合、年齢による筋力・柔軟性の低下、姿勢の崩れ、体幹の感覚の弱まりなど、若い頃とは異なる体の変化が現れます。

その変化を無視して若い頃と同じように「大きな声を!」「長いフレーズを!」と力任せに頑張るのではなく、「今できる範囲で、どのように息を支えるか」「どのように無駄なく力を使うか」に目を向けることが大切です。

私は、歌や発声において最も重視しているのは「できる・できない」や「正しい・間違っている」といった二択の評価軸ではありません。

それよりも、

  • いかに“無理なく、気持ちよく息を流せているか”
  • 体の奥(丹田やみぞおち周辺)に自然な支えを感じられているか
  • その感覚を日々の生活や歌の中で少しずつ積み重ねていけるか

この3つの視点こそが、発声・歌の「根本改善」につながる本質だと思っています。

大切なのは、「うまくできなかった自分を責める」ことでも、「完璧にやろうと気負う」ことでもありません。

たとえば、

  • 今日は少しだけでも“呼吸が楽になった”と感じられたか
  • 今までよりも“力まず声が出た”瞬間があったか
  • 練習後に“気持ちがほぐれた”“体が軽くなった”という体感があったか

そうした小さな気づきや変化を丁寧に積み重ねていくことが、結果的に喉の負担を減らし、息切れを改善し、“また歌いたい”という前向きな気持ちにつながります。

根本改善型のトレーニングとは、目先の成果や短期的なテクニックではなく、「声を出すための体の土台づくり」「自分自身の感覚に正直になること」「続けやすい練習スタイルを見つけること」を最優先に考える方法です。

とくに高齢の方には、「体調やその日の気分に合わせて無理なく続けられる」こと、「できた!」ではなく「気持ちよかった!」を重視すること、「昨日よりほんの少しでも心地よく歌えた」ことを何より大切にしてほしいと思っています。

そのような視点で取り組んでいくことが、長い目で見て“本当に声が変わり、息切れに悩まなくなる歌い方”を身につける唯一の道だと、私は信じています。

 

当教室のボイストレーニングの特長〜丹田発声を軸に〜

私の教室では、「丹田発声」をボイストレーニングの土台としています。

これは、単なる“腹式呼吸”ではなく、丹田(下腹・体幹の呼気筋)を中心に据えた発声です。

丹田発声の本質

・身体の中心から息をコントロール

・喉や胸ではなく、体幹の支えで声を“運ぶ”

・「息の流れ」と「身体の響き」を統合する

これにより、喉に頼らず、無理なく声帯を振動させる発声が可能になります。

高齢者の方でも無理なくできる3つのトレーニング例

1. 背中を広げる感覚を養う呼吸エクササイズ

2. 「息を細く長くコントロール」する支えづくり

3. 響きの方向性を整える発声

どれも「高齢者の方でも無理なく続けられる」「身体への負担が少ない」ことを重視したトレーニングです。

高齢者の方の息切れ・発声のよくある誤解

「息をたくさん吸えば長く歌える」

実は、吸いすぎることで身体がこわばり、息がうまく吐けなくなるケースがほとんどです。

大切なのは「必要な分だけ吸い、無駄なくコントロールして吐く」ことです。

「声が小さい=もっと強く出せばいい」

無理に声を張ると、息の消耗が早くなり、喉声・息切れにつながります。

響きを育てることで、自然と伝わる声が生まれます。

「フレーズは一息で全部歌わないといけない」

年齢を重ねたら、途中でこまめに息を継ぐ方がむしろ安定します。

無理に“一気に”歌おうとしないことが、長く歌うコツです。

「練習はたくさんやればやるほど良い」

ご高齢になるほど、疲労や喉の負担が積み重なりやすくなります。

「1日5分から」「できる範囲で続ける」ことが何より大切です。

 

まとめ〜年齢を重ねても歌はもっと楽しめる〜

息切れを防いで気持ちよく歌い続けるためには、「歌うための身体を整え、息の使い方を見直すこと」が不可欠です。

年齢を重ねたからこそ、「今の身体」に合わせて根本から声を整える――

これが、もう一度気持ちよく歌い切るための最大の近道です。

・姿勢を整える

・「吐く」を意識する

・無理な力みを手放し、響きで伝える

・息を配分しながらフレーズを歌う

・毎日少しずつ、自分の身体と相談しながら続ける

たったこれだけの心がけで、声も呼吸も驚くほど変わります。

歌は、年齢を重ねても自由に楽しめるものです。

身体と心に寄り添う本質的なトレーニングで、「もう一度、思いきり歌う喜び」を味わいましょう。

 

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