歳を重ねるにつれ、カラオケで前よりすぐ疲れるようになった。
1曲歌うだけで息が上がる。昔はもっと楽に歌えていたのに、今は最後まで歌い切るのがつらい。
そんな変化を感じると、「もう年齢だから仕方ない」と思ってしまいやすいものです。
ですが、ご高齢者の方がカラオケで疲れる原因は、年齢だけではありません。
本当の問題は、声を出すための筋肉が正しく使えなくなっていることにあります。
声を出すときに必要な筋肉が自然に働きにくくなると、喉だけで頑張って歌いやすくなり、息切れしやすい、すぐ疲れる、喉がもたないといった問題が起こりやすくなります。
逆に言えば、筋肉の使い方を正しい方向に整えていけば、今より楽に歌えるようになる可能性は十分あります。
この記事では、高齢者の方がカラオケで疲れやすくなる本当の原因を分かりやすく整理したうえで、なぜ声を出すための筋肉の使い方が大切なのか、どうすれば少しでも楽に長く歌いやすくなるのか、そして無理なく始めやすい改善の入口まで丁寧にお伝えします。
目次
ご高齢者の方が歌うと息切れしやすく疲れやすい本当の原因
カラオケで歌うとすぐに疲れてしまう原因は、年齢そのものではありません。
本当の原因は、呼吸と喉がうまく連動していないことにあります。
「呼吸と喉の連動」と聞くと、難しそうに感じる方もいらっしゃるかもしれません。
何か特別な技術が必要で、自分には無理だと思われる方もいるでしょう。
ですが、呼吸と喉の連動は、実は普段の生活の中でも私たちが自然に使っているものです。
たとえば、親しい人との会話で思わず大笑いするとき、声は自然と大きくなります。
遠くにいる人を呼び止めるときや、驚いて思わず「あっ」と声が出るときも同じです。
このような場面では、声をしっかり出していても、喉が痛くなることはあまりありません。
それは、呼吸と喉が自然に連動して働いているからです。
つまり、本来、声は呼吸と喉の共同作業で成り立っています。
ところが、多くの人は歌うときになると、なぜかこの連動がうまく働かなくなります。
その結果、歌うとすぐに疲れてしまうのです。
これこそが、カラオケで歌うとすぐに疲れる根本的な原因です。
では、なぜ歌うときに呼吸と喉の連動が乱れてしまうのでしょうか。
ここからは、その理由を分かりやすく解説していきます。
喉だけで歌っている
ご高齢者の方が歌うとすぐ疲れやすくなる大きな原因のひとつは、喉だけで歌っていることです。
本来、声は喉だけで生まれるものではありません。呼吸と喉が一緒に働いて声は生まれます。
ところが、喉だけで声を出そうとすると、呼吸の力が使われにくくなり、負担が喉に集中します。
すると、声を出すたびに喉で頑張りすぎる状態になり、苦しさや疲れやすさが大きくなります。
歌の途中で息が上がる、声が細くなる、歌い終わると喉も体も”どっと疲れる”いった悩みが出やすいのはそのためです。
喉だけで歌うほど、呼吸と喉の連動は切れてしまいます。
つまり、疲れやすいのは単に年齢のせいではなく、喉だけで歌う状態になっていることで呼吸と喉の連動が切れてしまっている事が大きな原因なのです。
呼吸筋がうまく働いていない
歌うときに疲れやすくなるもうひとつの原因は、呼吸筋がうまく働いていないことです。
声を出すときには、息が安定していると声も安定します。
ですが、その呼吸筋が弱くなると、息の流れが不安定になります。
ご高齢の方は時にこの呼吸筋が弱くなっているように思います。
息の流れが不安定になると、声帯の振動も安定しにくくなります。
すると、声を喉で無理に押し出しやすくなり、さらに喉に余計な力が入りやすくなります。
その結果、呼吸と喉の連動が切れてしまい、歌うほど疲れやすくなってしまいます。
また最初は歌えていても、次の息継ぎまで息がもたなかったり、途中で吸い直したくなる、最後まで歌うとぐったりするという状態も呼吸筋がうまく働いていないときに起こりやすいのです。
だからこそ、楽に長く歌うためには、まず歌う時に呼吸筋が働きやすい状態を作ることが大切です。
姿勢が崩れている
ご高齢になると姿勢も崩れやすくなります。
この姿勢が崩れていることも、歌うと疲れやすくなる大きな原因です。
姿勢が崩れると、息が肺に入りにくく、息を吐きにくくなります。
すると呼吸筋が働きにくくなり、喉も自然に動きにくくなります。
たとえば、背中が丸まっている、首が前に出ている、肩に力が入っているといった状態では、呼吸が浅くなりやすくなります。そのまま歌うと、息で支えにくいため、喉だけで声を出しやすくなります。
これが、息切れや喉の疲れにつながります。
姿勢が崩れると、呼吸と喉の連動はますます不安定になります。
逆に言えば、姿勢が整うだけでも息は入りやすくなり、歌うときの負担は減りやすくなります。
姿勢は見た目の問題ではありません。楽に呼吸し、楽に歌うための土台なのです。
年齢による声の変化について詳しく知りたい方は、声の老化の真実も参考になります。
呼吸と喉が連動すると歌はどう変わるのか
「呼吸と喉の連動」は、何か特別なテクニックではありません。もともと人に備わっている自然な働きです。
たとえば、大笑いしているときの声、驚いたときに思わず出る声、遠くにいる人を呼び止めるときの声には、呼吸と喉の連動が自然に表れています。こうした場面は、呼吸と喉の連動が本来誰にでも備わっている機能であることを示しています。
つまり、問題の本質は、その連動が歌うときにうまく働かなくなることにあります。
そして、歌うときに呼吸と喉が連動すると、喉の負担が減り、歌ったあとの疲れも軽くなりやすくなります。
さらに、声量も無理なく出しやすくなり、音程や声の安定感も出やすくなるため、歌うことそのものが前より楽になります。
ではなぜ呼吸と喉の連動がするようになると、声が出しやすくなり、喉の負担が減り、疲れにくくなり、声量や音程の安定感まで出やすくなるのでしょうか。ここからは、その理由を詳しく解説していきます。
息切れしにくくなりフレーズの最後まで歌いやすくなる
呼吸と喉が連動しているときは、息が無駄なく声として使われます。
ですが、喉だけで歌っていると、この連動が切れてしまい、息をうまく声にできません。
そのため、息が無駄に流れやすくなり、長いフレーズほど後半で苦しくなります。
反対に、呼吸と喉の連動が整ってくると、息を無理なく声に使いやすくなります。
すると、喉だけで頑張って声を支えなくてもよくなり、フレーズの最後まで声を保ちやすくなります。
その結果、途中で息が上がりにくくなり、後半で声が細くなったり苦しくなったりしにくくなります。
長いフレーズでも前より楽に歌いやすくなり、一曲を最後まで歌い切りやすくなるのです。
喉の負担が減り歌ったあとの疲れが軽くなる
歌ったあとに強い疲れが残る大きな理由は、喉だけで声を出そうとしているからです。
声は本来、喉だけで生まれるものではなく、呼吸と喉が一緒に動くことで声が生まれます。
しかし、呼吸がうまく使えず喉だけで頑張ると、負担が喉に集中します。
その状態が続けば、一曲歌っただけでもぐったりしやすくなり、数曲で喉がつらくなります。
一方で、歌うときに呼吸と喉が連動できるようになると、声を出す働きが分散されるため、喉だけに負担が集まりにくくなります。その結果、歌ったあとの消耗感も軽くなりやすくなります。
もちろん、まったく疲れなくなるわけではありません。
ですが、喉だけで無理に歌う状態から抜け出せれば、疲れ方は確実に変わってきます。
歌うときに呼吸と喉が共同作業できるようになると歌ったあと、疲れにくくなります。
声量が無理なく出やすくなる
声は、息が声帯を振動させることで生まれます。
そして声量を上げるには、声帯振動をしっかり起こせる状態が必要です。
しかし、喉だけで声を出そうとすると、喉に余計な力が入り、声帯は自由に動きにくくなります。
そうなると、声帯振動は不安定になり、思うように声量は出ません。
反対に、呼吸と喉頭が自然に連動すると、喉に余計な力が入らなくなります。
すると、声帯は自由に動きやすくなり、正常な声帯振動が起こりやすくなります。
その結果、喉で無理に押し出さなくても、声量は自然に出るようになります。
音程や声の安定感も出やすくなる
音程は、声帯が高音で伸び、低音で縮むことで生まれます。
そして、この動きは喉を意識して無理に音程を作るものではありません。
出したい音をイメージしたときに、声帯が自然に自由に動くことで音程は生まれます。
しかし、喉だけで歌おうとすると、喉に余計な力が入ります。
すると、声帯は本来のように自由に伸びたり縮んだりできなくなり、音程は不安定になります。
カラオケで喉だけで高音を出そうとしても出ないのはこの事が原因です。
反対に、呼吸と喉が自然に連動すると、喉に余計な力が入りにくくなります。
すると、歌うときに声帯は自由に伸びたり縮んだりできるようになります。
歌が上手な人が声の出だしも伸ばす音も安定し、音程もぶれにくいのは呼吸と喉が連動し、喉に余計な力が入らず声帯が自由に動けているからです。
つまり、音程を安定させるために必要なのは、喉で頑張って作ることではありません。
呼吸と喉が自然に連動し、声帯が自由に動ける状態を取り戻すことです。
カラオケで声が出にくくなる理由や改善の考え方を知りたい方は、シニア向けボイトレでカラオケで声が出ない悩みを解決!も参考になります。
ボイストレーニングは呼吸から始めることが重要
ご高齢者の方がカラオケで疲れにくく歌うために大切なのは、ボイストレーニングで呼吸と喉が自然に連動する状態を取り戻すことです。
ただ多くの人は、声の悩みがあるとまず喉を何とかしようとして、喉のトレーニングから始めようとします。
ですが、喉からボイストレーニングを始めると、かえって呼吸と喉の連動は難しくなります。
だからこそ、最初に取り組むべきなのは喉ではなく呼吸のトレーニングです。
では、なぜ呼吸のトレーニングから始めるのが最適なのか。ここから詳しく解説していきます。
喉の筋肉は複雑に動くため意識して整えるのが難しい
喉の筋肉は、声を出すときにとても細かく複雑に働いています。
そのため、「喉をこう動かそう」と意識して直接整えようとしても、思うようにいかないことが多いです。
また喉の筋肉は手や足のように目で見ながら動かせる場所ではなく、動きも単純ではありません。
声の高さや強さに合わせて、多くの筋肉が細かく複雑に変化しています。
そうした喉の筋肉を一つ一つ取り出してトレーニングするのは現実的ではありません。
むしろ、喉へ直接意識を向けると喉への意識が強くなり、余計な力が入りやすくなります。
すると、呼吸と喉の連動はかえって難しくなります。
つまり、喉を意識するほど喉に余計な力が入り、喉に余計な力が入るほどさらに歌いにくくなるのです。
だからこそ、改善の入り口は喉ではありません。
まずは呼吸から整え、呼吸と喉が自然に連動しやすい状態を作ることが大切です。
呼吸は比較的意識しやすいのでボイストレーニングに取り入れやすい
その点、呼吸は喉に比べて比較的意識して動かしやすい働きです。
呼吸の筋肉は、喉の中の細かな動きよりも、自分で感覚をつかみやすく、目でも確認しやすいからです。
吸う、吐く、息が流れる、お腹や背中が動くといった変化は、自分でも確かめやすいため、練習にも取り入れやすいのです。
また、呼吸の筋肉は喉から離れているため、呼吸に意識を向けても喉に余計な力が入りにくいという大きな利点があります。喉を直接どうにかしようとすると喉への意識が強くなりますが、呼吸に意識を向ければ、喉で歌う癖を弱めやすくなります。つまり、呼吸を整えることは、呼吸そのものを改善できるだけでなく、喉だけで歌う癖を抜くことにもつながるのです。
さらに、呼吸の筋肉を意識して使うことは、体幹を鍛えることにもつながります。
体幹が整うと姿勢も安定しやすくなります。
姿勢が良くなると呼吸の筋肉はさらに動かしやすくなり、首や頭の位置も整いやすくなります。
その結果、喉の筋肉も前より自然に動きやすくなります。
このように、呼吸から整える方法は、喉に余計な力を入れずに始めやすく、しかも姿勢まで整えやすい方法です。
だからこそ、最初の入り口として呼吸のトレーニングが適しているのです。
呼吸から声を出しやすくする考え方を知りたい方は、丹田発声について|呼吸法を整えて舞台・歌・話し方が劇的に変わる理由も参考になります。
ご高齢者の方向け ボイストレーニング例
ご高齢者の方がカラオケを少しでも楽に楽しむためには、いきなり喉を頑張らせるのではなく、呼吸から整えていくことが大切です。
本来、声は呼吸と喉の共同作業です。
呼吸と喉の自然な連動を取り戻すには、まずは呼吸しやすい状態を作り、息の土台を整え、そのうえで実際の歌につなげていくのが自然です。
多くの人は喉だけで声を出しているから疲れやすいのですが、最初から強く歌おうとすると、その癖がさらに強くなりやすくなります。大事なのは、上手に聞かせようとすることではありません。
呼吸と一緒に声を出せる状態を少しずつ作っていくことです。
ここでは、ご高齢者の方でも無理なく始めやすいボイストレーニング基本の流れの例をご紹介します。
姿勢の確認
呼吸から整えるためには、まず息が入りやすく、出やすい体の状態を作ることが大切です。
姿勢が崩れていると、呼吸の流れが浅くなりやすく、声を喉だけで支えやすくなります。
すると、歌い出しから苦しくなったり、すぐに疲れたりしやすくなります。
ここで目指したいのは、きれいに立つことではありません。
楽に呼吸できる姿勢に戻すことです。
胸を無理に張りすぎないこと、肩に力を入れすぎないこと、首や顎を固めすぎないことを、まずはやさしく確認してみてください。
体が少し楽になるだけでも、次の呼吸の練習はやりやすくなります。
姿勢はそれ自体が目的ではなく、呼吸と喉の連動を整えやすくする準備です。
丹田を意識して息の土台を整える
姿勢が整ってきたら、次は息の土台を整えていきます。ここで意識したいのが丹田です。
丹田とはおへそから指2〜3本下にある下腹部の事です。
下腹あたりに意識を向けながら、息を止めずに安定して吐く感覚をつかむための目印として考えると分かりやすいです。
多くの人は喉だけで声を出しているから疲れやすいので、まずは喉ではなく、息を支える土台に意識を向けることが大切です。このとき大事なのは、強く押し込むことではありません。
無理のない息の支えを感じながら、安定して吐ける感覚を育てることです。
大きな声を出す必要もありません。息の流れが落ち着いてくると、喉だけで頑張らなくても声を出しやすい状態に近づいていきます。呼吸と一緒に声を出せるようになると疲れにくくなるので、その入口として息の土台を整えることには大きな意味があります。
好きな歌を使って実際の歌唱につなげる
姿勢と呼吸の感覚が少しつかめてきたら、その感覚を実際の歌につなげていきます。
このときは、自分が歌いやすい好きな歌を使うのがおすすめです。
最初から難しい曲や高い曲で頑張るよりも、無理の少ない曲で、呼吸の流れに声を乗せる感覚を確かめる方が進めやすくなります。歌うときは、上手に聞かせようとするよりも、呼吸と一緒に声を出すことを意識してください。
姿勢を整えたうえで、丹田を意識しながら短いフレーズを歌ってみると、喉で押し出していないかを確かめやすくなります。ここで一気に変えようとしなくて大丈夫です。
少しずつでも、呼吸の流れの中で声が出る感覚が増えていけば、それが歌いやすさにつながっていきます。
本来、声は呼吸と喉の共同作業です。
その感覚が好きな歌の中で少しずつ育っていくと、カラオケでも前より楽に歌いやすくなります。
大切なのは、喉を無理に頑張らせることではなく、呼吸から整えて歌につなげていくことです。
丹田を意識した呼吸のやり方をもう少し具体的に知りたい方は、歌うときお腹はへこます?ふくらむ?正しい腹式呼吸と丹田の使い方も参考になります。
まとめ ご高齢者の方が疲れず歌うために本当に大切なこと
高齢者の方がカラオケですぐ疲れるのは、年齢だけが原因ではありません。本来、声は呼吸と喉の共同作業です。
この連動が乱れると、息切れしやすくなり、喉の負担も増え、1曲歌うだけでも苦しくなりやすくなります。反対に言えば、原因を正しく見直せば、必要以上にあきらめる必要はありません。
多くの人は喉だけで声を出しているから疲れやすいのです。
だから改善の入り口も、喉を無理に頑張ることではなく、まず呼吸から整えることにあります。
姿勢を見直し、息の土台を整え、呼吸の流れの中で声を出す感覚を少しずつ育てていくことが、楽に長く歌うための正しい方向です。
呼吸と一緒に声を出せるようになると疲れにくくなります。
高齢者だからもう仕方ないのではなく、呼吸と喉のかみ合わせを整えていけば、カラオケは今よりもっと楽に楽しめます。
大切なのは、喉だけで歌おうとせず、呼吸から整えていくことです。
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