「お腹を使って歌って」と言われて、頑張ってお腹を凹ませているのに、声が出にくい…喉がきつい…

そんな経験はありませんか?

実は、歌で大切なのは“どこを”どう凹ませるかという部分。

間違った場所を力で引っ込めると、かえって息が浅くなり、声の支えが失われてしまいます。

本記事では、「歌で正しくお腹を凹ませる」とはどういうことか、そしてその感覚を身につける具体的なボイストレーニングを、解剖学的な視点からわかりやすく解説します。

「喉ではなくお腹で支える感覚」を本当に知りたい方に向けた内容です。

 

 

歌で間違ったお腹を凹ます部分

大阪市 小谷ボイストレーニング教室のレッスン風景

みぞおち(腹直筋の上部)

歌において「みぞおち」付近、すなわち腹直筋の上部を凹ませる動作は、発声において大きな弊害をもたらします。

この部分は横隔膜のすぐ下に位置しており、本来は呼吸の出入りに応じて自然に動くエリアです。

ここを意識的に凹ませてしまうと、まず胸郭の下部(肋骨)が動かなくなり、呼吸の深さが失われます。

さらに、横隔膜の動きが制限されることで、息の流れが上方向へ偏りやすくなり、喉への圧力が増大します。

その結果、喉で息を押し出すような力みが生まれやすく、声が詰まったり、高音で喉が締まる原因となります。

また、みぞおちを凹ませることで腹部が過緊張状態となり、歌唱中に柔軟な息のコントロールができなくなります。

見た目は引き締まって正しそうに見えますが、発声メカニズムとしては逆効果です。

 

おへそ全体を内側に引き込むような動き(出尻になる)

歌う際に「おへそ全体を内側に引き込む」ような動きは、腹直筋全体を過剰に収縮させることで体幹の柔軟性を失わせ、発声に悪影響を及ぼします。

特にこの動きによって骨盤が前傾しやすくなり、いわゆる“出尻”の姿勢になります。

この姿勢になると、上半身のバランスを崩す原因となり、息の流れが不安定になります。

また、腹部を固めることで横隔膜の動きを妨げ、息の出入りが浅く速くなりがちです。

その結果、声を長く安定して保つことができず、喉や首に余計な力が入りやすくなります。

さらに、引き込む動きが強いほど肋骨の動きも制限され、胸郭の拡張が妨げられるため、自然なブレスが難しくなります。

見た目には姿勢が良く見える場合もありますが、内側での呼吸機能が阻害されており、深く安定した発声が困難になります。

 

 

歌で「正しく凹む」お腹の部分とは?

凹むべきは「下腹部」=骨盤内側にかけて

歌において「正しく凹む」お腹の部分とは、下腹部の奥、すなわち丹田の裏側から骨盤内側にかけての部分です。

これは腹直筋のような表層の筋肉ではなく、腹横筋や骨盤底筋などのインナーマッスルが関与する深部の部分です。

この部分が歌唱時に正しく凹むことで、横隔膜の動きを妨げることなく腹圧を適切に支えることができます。


見た目には下腹部が斜め上に捲り上がるように見え、感覚では骨盤が前方へスライドするような感覚が正しい反応です。

この深部の動きによって息の流れが安定し、喉や肩に余計な力が入らず、声の響きが自然に広がります。

逆に腹筋表面を固めてしまうと、呼吸が浅くなり、発声に不自然な力みが生じやすくなります。

 

なぜその部分を凹ますと歌いやすくなるのか?

下腹部が正しく凹ませると、声が安定し、歌いやすくなります。

その理由は、横隔膜の動きを妨げずに腹圧を下から支えられるからです。

この部分を使うと、息が一定のスピードでコントロールされ、強くも弱くも自在に声を保つことができます。

また、体の中心が安定し、上半身や喉に余計な力が入らなくなるため、無理なく自然な響きが生まれます。

逆に、表層の腹筋を使ってお腹全体を凹ませると、息の流れが乱れたり、喉を締めて支えようとする癖が出てしまいます。

下腹部の深層を穏やかに凹ませることで、内側からの支えが生まれ、呼吸と声が一体化しやすくなるのです。

これは表面的な筋力でなく、体幹の内側から声を支えるために必要な感覚です。

 

 

正しくお腹を凹ませて歌えるようになるボイストレーニング

ステップ1:腹直筋をリラックスさせる準備

《仰向け脱力呼吸》

仰向けに寝て膝を立て、手をみぞおちと下腹部に置きます。

息を吸うときに「背中側が広がる」感覚を感じる。

息を吐くとき、お腹の表面(腹直筋)は固めず、下腹の奥がじんわりと沈むように吐く。

背中と下腹が「同時に下がる・沈む」ように。

 

目的:表面ではなく、深部の筋肉を感じるための意識づけ。

 

ステップ2:腹圧を下方向に保つ練習

《椅子に座って「スー」発声》

椅子に浅く腰掛け、背筋を軽く伸ばしてリラックス。

ゆっくり息を吸い、吐くときに「スーーー」と細く長く吐きながら、下腹の奥を静かに引き込む感覚を使う。

お腹の前面を凹ませすぎず、背骨の方に「奥から支える」ような感覚を保つ。

 

目的:息のコントロールと下腹の深層筋を連動させる。

 

ステップ3:声と支えを連動させる

《ロングトーン発声(あ〜)》

息を吸って「背中が広がる」感覚を感じたあと、「あ〜」と声を出す。

このとき、喉や胸に力を入れず、丹田の奥で静かに支え続ける感覚を保つ。

声が揺れたり息がブレたら、支えが抜けていないか下腹に集中して確認する。

 

目的:声と腹圧の支えを一致させる習慣をつける。

 

 

 

まとめ

大阪市 小谷ボイストレーニング教室のレッスン風景
正しくお腹を凹ませるためには、表面的な筋肉ではなく、下腹部の奥にあるインナーマッスルを静かに使うことが鍵です。

特に丹田の裏側〜骨盤内側にかけての感覚を育てることで、横隔膜の動きを妨げず、声を安定して支えることができます。

一朝一夕で身につく技術ではありませんが、日々の呼吸トレーニングや丁寧な発声練習の積み重ねによって、少しずつ身体の使い方が変わっていきます。

喉ではなく下腹で支える感覚が身につけば、高音・ロングトーン・表現力すべてに好影響をもたらします。

正しい身体の使い方を土台に、長く歌い続けられる声を育てていきましょう。

 

 

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