声帯そのものは鍛えられるのか?

レッスンをしていると、「声帯そのものを鍛えるトレーニングはありますか?」と尋ねられることがあります。

結論から言うと、声帯そのもの(特に粘膜部分)を直接“鍛える”トレーニングはありません。

ただし、声帯には「声帯筋(内筋)」という筋肉部分が含まれます。

発声に関わる筋肉は声帯筋だけでなく、声帯の動きをコントロールする喉頭(こうとう)の周囲の筋肉(例えば、輪状甲状筋や披裂筋など)が重要な役割を担っています。

発声トレーニングでは、これら喉頭周囲の筋肉を機能的に使えるようにすることが大切です。

また、「鍛える」よりも「使い方を最適化する」「柔軟にコントロールできるようにする」ことが目標となります。

声帯はどうやって動くのか?

声帯は自力で動くのではなく、喉頭の中にある複数の筋肉の働きによって開いたり閉じたり、伸びたり縮んだりしています。

例えば…

息を吐くとき:肺からの空気が声帯を振動させ、声が生まれます。

高い声(裏声)を出すとき:輪状甲状筋(cricothyroid muscle)が声帯を引っ張り、細く長く伸ばします。

低い声やしっかりした声を出すとき:声帯筋や披裂筋などが主に働き、声帯を太く短く、しっかり閉じることで、芯のある声になります。

つまり「声帯そのもの」よりも、「声帯を動かす筋肉のバランスや協調性」を高めることが、発声力アップにつながります。

裏声トレーニングの意味と狙い

裏声のトレーニングは、単に高音を出すためのものではありません。

裏声をしっかり出すことで、声帯を伸ばす力(輪状甲状筋の動き)、声帯の柔軟性、音域全体のコントロールが養われます。

また、裏声を鍛えることで、地声・裏声ともに音域や響きの幅が広がり、声のコントロール力が高まります。

ミックスボイスとは?〜地声と裏声の“橋渡し”〜

ミックスボイスは、地声と裏声をなめらかにつなぎ合わせ、両方の長所を融合させる発声法です。

 

ミックスボイスのさらに詳しい内容は下記の記事で詳しく解説しています。

ミックスボイスとは?ミックスボイスという言葉の実体と本質を徹底解説

音程が生まれる仕組み

音程(高音・低音)は、声帯の長さと厚み、張力によって決まります。

低音や中音:声帯が太く短くなり、振動数が下がる

高音:声帯が細く長く引っ張られ、振動数が上がる

これは弦楽器と似ており、太くて短い弦は低音、細くて長い弦は高音が出やすいのと同じ原理です。

高音を出すための発声練習

高音を出すためには、声帯を細く長く保つ輪状甲状筋の働きが重要です。

効果的なトレーニング方法は「裏声(ファルセット)で高音を出す発声練習」です。

また、「息漏れのある裏声」で音階を上昇・下降する練習も、輪状甲状筋の機能強化につながります。

裏声の時のポイントとトレーニング

裏声は高音を出しやすい一方で、弱く頼りない声になりやすいのが特徴です。

強い裏声やミックスボイスを目指すには、裏声で声帯をしっかり閉じる(声門閉鎖)トレーニングが重要です。

コツ①:喉に無駄な力を入れず、リラックスする

コツ②:「HO」や「HA」などの発音で、息漏れの声で練習する

コツ③:口腔や軟口蓋を意識的に開き、響きを意識する

ボーカルフライ(極端に低い音で声帯を閉じる練習)も有効です。

息漏れ声トレーニングの重要性

息漏れのある声でのトレーニングは、声帯の伸展や柔軟性を高めるだけでなく、裏声やミックスボイスの感覚をつかむ助けになります。

息をしっかり吐きながら「HO」「HA」の発音でオクターブ音階を繰り返す

地声でも息漏れ声を使い、声帯の動きを柔らかくする

これにより、声帯を「伸ばす」「閉じる」両方の機能がバランス良く鍛えられます。

ファルセット・ヘッドボイス・ミックスボイスの違い

裏声には様々な種類があり、

ファルセット…息漏れが多く、軽い裏声

ヘッドボイス…息漏れが少なく、響きや力強さのある裏声

ミックスボイス…地声と裏声の特徴を融合させた発声

という風に息の流れや声帯閉鎖の度合いで分類されます。

(※用語の定義は流派によって違う場合があります)

ミックスボイス習得までのステップ

1. 息漏れ声・ウィスパーボイスで地声/裏声を両方トレーニング

2. 裏声の発声練習で輪状甲状筋を強化

3. 裏声と地声を音階で交互に出す練習(オクターブトレーニングなど)

4. 裏声で声門閉鎖を強化(ボーカルフライ、響きを高く意識)

5. 表声・裏声それぞれの音域を広げ、重なる領域を増やすことで切り替えを滑らかにする

ミックスボイスはどれくらいで習得できる?

「1年で習得できますか?」と聞かれることも多いですが、個人差が大きいです。

トレーニングを積めば、1年で感覚をつかむ方もいますが、

裏声が安定して強く出せること

地声との切り替えが滑らかになること

実際の歌唱で自在に使えるようになること

これら全てが揃うには地道なトレーニングと経験の積み重ねが大切です。

まとめ

声帯そのものよりも「声帯を動かす筋肉や使い方」を鍛える・調整するのが発声トレーニングの目的

裏声や息漏れ声のトレーニングは、声帯の柔軟性や高音域の獲得に効果的

ミックスボイスは、裏声と地声を橋渡しする技術。

切り替えをスムーズにするトレーニングがカギ

継続した練習が音域や表現力の向上につながる

 

 

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