ミックスボイスって、人によって説明が違っていて、どれが本当なのか分からなくなることはありませんか。
「地声でも裏声でもない声」を求めて練習してみたけれど、なかなかつかめなかった…そんな経験をした方も多いと思います。
私の考えでは、ミックスボイスは「地声と裏声の間の声」を作ることではなく、地声と裏声を自然につなげてひとつの声として響かせる発声です。無理に混ぜ合わせるのではなく、呼吸や身体の使い方を整えることで結果として生まれてくる声なんですね。
この記事では、まずミックスボイスという言葉がなぜ人によって違う意味で語られてきたのかに触れていきます。
次に、「混ぜる声」や「中間の声」といった誤解がどうして広がってしまったのかを整理します。
そのうえで、地声と裏声をどのように整えていけば自然に統一できるのか、その方向性をお話しします。
最後に、習得のカギになる「息の流れ」と「支え」「響き」に注目し、具体的な練習の道筋とトレーニング方法をまとめていきます。
目次
ミックスボイスの定義
まず、「何をもってミックスボイスと呼ぶのか」という定義についてです。
正直なところ、ミックスボイスには決まった定義が存在していません。
現場のボイストレーナーによって解釈や説明が異なるため、共通する定義がないとも言えますし、逆に言えば「定義が多数存在する」とも言えます。ですので、この記事では混乱を避けるために、「小谷式ミックスボイス」という前提でお話ししていきます。
小谷式ミックスボイスの基本イメージ
ミックスボイスとは、地声と裏声の特徴を調和させて一体化させた発声方法のことです。
よく「ミックスボイス=地声と裏声の中間」と説明されますが、実際には単なる“折衷案”ではありません。
地声と裏声という対照的な性質を持つ声を、身体と息の使い方によって統合し、最適化されたひとつの響きとして成立させる発声です。
地声のような“芯”や太さを持ちながら、裏声の持つ“柔軟性”や“高さ”も兼ね備え、喉に過度な負担をかけずに高音が出せる声。
それが、小谷式ミックスボイスの出発点となるイメージです。
「第3の声」ではなく「統合された声」
ミックスボイスは、「地声でも裏声でもない第3の声」を作ることではありません。
地声の特性を最適化し、裏声の持つ柔軟性や高さを調整することで生まれる、統合された発声方法です。
この声は、まるで一本の滑らかなリボンのように音域をつないでくれます。
裏声にひっくり返ることもなく、力んだ地声で無理やり押し上げる必要もない。
身体の中心から安定した支えを得ながら、自由に音楽を表現できる声。
ミックスボイスは、「地声か裏声か」という二元論から離れた、声の統合表現と言えるでしょう。
ミックスボイスの定義まわりで混乱しやすい方は、地声・裏声・ヘッドボイスなどの言葉の整理を一度しておくと、とても理解しやすくなります。日本と海外での用語の違いもふまえて声の種類を比べてみたい方は、ヘッドボイスとファルセット、裏声、地声の違い|こんなにも違う!日本と海外の解釈を徹底比較もあわせて読んでみてください。
では、このミックスボイスという言葉が、いつ頃どのように使われるようになってきたのかも、少し振り返ってみましょう。
ミックスボイスの歴史
私が音大生だった2000年前後には、「ミックスボイス」という言葉は一般的には使われていませんでした。
当時、似たような意味で使われていた言葉としては「チェンジ」がありました。
これは主にクラシックの分野で用いられていた表現で、「地声から裏声へ切り替わる辺り」「声区の切り替え」のような意味合いで使われていました。
一方で、クラシック以外のジャンルではどのように呼ばれていたのかは、私には分かりません。
その後、日本では2000年代初めから中頃にかけて、「ミックスボイス」という言葉が登場し始めました。
初期の段階では、主に「強い裏声」という意味合いで使われていたように感じています。
そして現代では、「ミックスボイス」は単なる裏声の種類ではなく、「歌い方」「発声技術」のひとつとして捉えられることが増えてきました。
つまり、「ある特定の一種類の声」ではなく、「地声と裏声を統合していく発声方法」や、「音域全体をひとつの響きでつなぐための考え方」として語られることが多くなっています。
ミックスボイスの歴史の背景には、特に日本では「裏声は弱くて使い物にならない」といったイメージも少なからず影響しています。
裏声そのものへの正しい理解を深めたい方は、裏声は弱くて使い物にならない?それは大きな誤解ですも参考になるはずです。
ミックスボイスの本質的なイメージ
「混ぜる」「中間の声」というイメージが生む誤解
ミックスボイスを身につけた声は、結果として「地声と裏声の中間のように聞こえる」ことがあります。
そのため、「ミックスボイス=中間の声」というイメージが広がりやすいのですが、実際には「中間」という具体的な声質や音色が存在するわけではありません。
「中間の声」を作ろうとして、無理な力みや曖昧な発声を続けることで、声帯や喉に負担がかかり、どっちつかずで弱い声になってしまうことも少なくありません。
実際、多くの方が地声のまま無理に高音を出そうとしたり、裏声を少しだけ太くしようとするような、中途半端な発声に陥りがちです。
「中間の声」というイメージ自体が誤解の原因となり、本質から外れた練習を生みやすいのです。
目指すべきは「地声と裏声の統一感」
ミックスボイスで最も大切なのは、地声と裏声の切り替えによって声の質感がバラバラに聞こえるのを防ぎ、統一感のある歌声にすることです。ミックスボイスの習得には喉で歌う癖の改善が重要です。
喉で歌う事を改善されたい方は、喉で歌わない方法|プロが教える喉が楽になる発声法も読んでみてください。
小谷式ミックスボイスが目指すのは、地声と裏声を違和感なく統一し、一つのまとまりある声にしていくことです。
地声の“芯”や“太さ”、裏声の“高さ”や“柔軟さ”など、それぞれの良さをバランスよく最適化し、発声や体の使い方を整えることで、音域全体で同じような統一感のある声を目指します。そのために、まずは地声・裏声・ミックスボイスの関係を整理しておくことが大切です。
地声・裏声・ミックスボイスの関係を整理する
裏声とは?
裏声は、輪状甲状筋が優位に働き、声帯が地声よりも伸展し、高音が出しやすくなる声です。
軽く柔らかな音色を持ち、ふんわりとした響きになりやすいのが特徴です。
裏声は息の流れが声に影響しやすく、息の流れが不安定だと、きれいな裏声は出にくくなります。
輪状甲状筋の働きで高音が出しやすい一方で、支えや共鳴の条件が整っていないと不安定になりやすい側面もあります。
イメージしやすくするなら、裏声は「素材」に近い存在です。
そのままでも良さはありますが、そのままだと用途が限られやすい声、と考えると分かりやすいかもしれません。
ミックスボイスとは?(素材と調理の関係)
ミックスボイスは、地声と裏声の特徴を統合して一体化させた発声法です。
単に地声と裏声を混ぜるのではなく、体の使い方と息の流れを工夫して、二つの声の特徴を自然になじませ、一つの響きとして整えます。
地声の芯の強さを保ちながら、裏声の柔軟性や高さを取り入れ、喉に過度な負担をかけずに低音域から高音域までつなげる歌い方です。
料理に例えると、地声と裏声が「素材」だとすると、ミックスボイスはその素材を活かしながら、火加減や味付けで全体のバランスを整える「調理法」のようなものです。
素材そのものを変えてしまうのではなく、素材の持ち味を引き出しながら一皿として完成させるイメージに近いでしょう。
地声とミックスボイスの違い
地声とは、普段の会話で自然に使っている声のことです。
声帯が厚く振動してしっかり閉じるため、太く芯のある響きが生まれ、存在感や力強さを出すのに適しています。
ただし、地声のまま高音に挑もうとすると、声帯に過度な負担がかかり、喉が締まったり声が裏返ったりしやすくなります。
会話の範囲では、地声だけで十分に足りますが、歌のように音域が広くなると、地声の感覚だけでは対応しきれない場面が増えてきます。
そこで必要になってくるのが、地声と裏声の性質を統合し、音域全体をなめらかにつなぐミックスボイスという発声法です。
ミックスボイスと裏声の違いは「耳」ではなく「仕組み」でわかる
ミックスボイスと裏声は、どちらも高音域で使われることが多く、声帯の動きも似てくるため、耳で聞いただけでは区別がつきにくいことがあります。どちらも声帯が細く伸び、息の流れを使って振動する点で共通しているため、構造上の近さから響きも似通いやすいのです。
仕組みを理解せず、感覚だけに頼って練習していると、この二つの声を無意識に混同してしまいます。
大切なのは、「どう聞こえるか」だけで判断するのではなく、「どうやって声が作られているか」という仕組みを理解しながら練習していくことです。
声帯の働きや息の支え方を理解し、身体でその違いを感じ取れるようになってくると、結果的に耳での聞き分けも自然にできるようになっていきます。
裏声そのものをもっと丁寧に鍛えていきたい方は、裏声だけで歌う効果とは?裏声を鍛えることで得られる声の変化も役に立ちます。
では、ここまで整理してきた前提をふまえて、ミックスボイスがうまくいかない主な原因を見ていきましょう。
ミックスボイスがうまくいかない主な原因
裏声が弱く、地声との音質差が大きすぎる
地声と裏声がうまくつながらない原因のひとつは、「裏声が弱く、地声との音質差が大きすぎる」ことです。
裏声が未発達なままだと、息漏れが多く、細く頼りない音になりやすいため、地声の太くて芯のある響きとの落差が目立ちます。
この落差があると、地声から裏声に移行する際に音質が急に変化し、「ひっくり返った」と感じられやすくなります。
発声者自身も違和感を覚え、喉に余計な力が入りやすくなるため、さらに切り替えが難しくなってしまいます。
息の流れが途中で止まり、声が途切れてしまう
声は、息の流れに乗って初めて自然に響きます。
ところが、地声から裏声への切り替えに意識が集中しすぎると、「うまく出そう」とするあまり、無意識に息を止めてしまうことがあります。
息の流れが途切れると、その瞬間に声もブツッと切れたり、音程が不安定になったりします。
本来、声帯の振動は安定した息の流れがあってはじめて安定します。
息が止まったり急に強くなったりすると、声帯の振動も不規則になり、裏返りやガサつきの原因になってしまいます。
喉の筋肉に力が入りすぎている
高音を出そうとすると、多くの人が無意識に喉の筋肉に力を入れてしまいます。
これは、外喉頭筋など喉周りの筋肉を使って声を無理に押し上げようとする状態で、声帯の振動を妨げ、音が硬くなったり途切れたりする原因になります。
喉が緊張した状態では、裏声のような柔らかく軽やかな響きが作りにくく、地声との移行がぎこちなくなります。
その結果、息の流れも妨げられ、声全体のつながりや安定性が失われてしまいます。
声門閉鎖を「目的」にしてしまう
最近は、「声門閉鎖」がミックスボイスのキーワードとして取り上げられることも増えました。
もちろん、適度な声門閉鎖は大切ですが、「閉じること自体」を目的にしてしまうと、喉に過度な力が入り、息の流れや共鳴が乱れやすくなります。声帯を無理に閉じようとすると、首や舌根、喉頭周辺に不要な緊張が生まれます。
その結果、息の通り道が狭くなり、声帯の振動が不安定になります。
ミックスボイスで歌うには地声から裏声へ切り替える換声点でスムーズに移行する事が大切です。
もし換声点付近でスムーズに移行できず声がガラガラしてしまう方は、ミックスボイスで換声点ガラガラになる原因と対策もおすすめです。
息の流れが不安定になると、声がこもったり、かすれたりして、ミックスボイスの響きが崩れやすくなります。
大切なのは、「声門閉鎖を作ること」ではなく、「自然な声門閉鎖が起こる条件を整えること」です。
次章からは自然な声門閉鎖について解説します。
声門閉鎖と息の流れの仕組み
声門閉鎖の仕組みと役割
声は、息が二枚の声帯の間を通過することで声帯が振動し、音のもととなる原音が生まれます。
声門閉鎖とは、声帯の縁同士が適度に接した状態を指します。
ここで重要なのは、「声帯を完全にギュッと閉じること」が目的ではないということです。
無理のない範囲で効率的に振動できる、適度な閉鎖状態を保つことが大切になります。
声帯が開きすぎていると息漏れが増え、音が不安定になります。反対に、強く閉じすぎると振動が硬くなり、喉に負担がかかります。
理想的な声門閉鎖は、息の流れに支えられながら、声帯がスムーズに振動できるバランスのとれた状態です。
声帯が自然に閉じるベルヌーイ効果
息が一定の速さで流れると、声帯の間の圧力が下がります。この圧力の変化によって、声帯は自然に引き寄せられるように閉じやすくなります。これがベルヌーイ効果に基づく、自然で理想的な声門閉鎖です。
強い筋力で無理に閉じようとしなくても、息の流れが整えば声帯は自然に寄り合い、効率の良い振動が生まれます。
大切なのは、「どれだけ締めるか」ではなく、「息の量や速度をどれだけ安定させるか」です。
声門閉鎖と息の流れの関係
声門閉鎖は、あくまで「息の流れが整った結果」として起こる現象です。
息の流れが乱れると、声帯の動きが不規則になり、音の揺れや裏返りを引き起こします。
息が止まったり急に強くなったりすると、声帯の振動が不安定になり、閉鎖のバランスも崩れてしまいます。
ですので、「声門閉鎖を意識して作ろう」とするよりも、息の流れを安定させることに意識を向ける方が、結果として良い閉鎖につながります。
息の流れが安定すると、声帯は自然に反応し、必要なだけ閉じてくれます。
共鳴の通り道を十分に確保し、息がスムーズに流れる条件を整えることが、ミックスボイス習得の大きなカギになります。
さらに声門閉鎖そのものの仕組みをしっかり押さえておきたい方は、声門閉鎖と発声の関係を徹底解説|も参考にしてみてください。
次章からはミックスボイスの習得のポイントについて解説していきます。
ミックスボイス習得の道
1. 地声の最適化
ミックスボイス習得の第一歩は、地声の最適化です。
ここでいう「最適化」とは、喉や首などに無駄な力をかけず、しっかり安定した声を出せるようにすることです。
多くの人は地声で声を出すとき、無意識に喉の筋肉を強く緊張させたり、息をあまり使わずに喉だけで声を出そうとする傾向があります。
まずは喉の力みを抜きながら、呼吸筋をしっかり使って息の流れを整えて発声することが重要です。
息の流れが安定してくると、雑音やノイズの少ないクリアな地声になり、安定した響きが得られます。
こうして地声を整えることで、発声の基礎が安定し、高音域への移行もスムーズになり、ミックスボイス習得への大きな一歩となります。
2. 裏声の調整
裏声は本来、柔軟で高音域を出しやすい声ですが、息漏れが多く、細く弱々しくなりやすいという特徴もあります。
裏声で息漏れが増える主な原因は、裏声を出すときの息の流れが不安定になりやすいことです。
改善策としては、裏声を出すときに、丹田や横隔膜を使って息の流れをしっかり安定させることが大切です。
同時に、口腔や咽頭腔といった共鳴腔(口腔・咽頭腔)を十分に確保し、声がしっかり響くように調整していきます。
さらに、裏声で発声しているときも、体幹や下腹部で身体を安定させ、「地声のときの支えの感覚」を意識し続けることが大切です。
こうして裏声の息の流れと響きを整えていくことで、地声に負けない芯のある強い裏声が育ち、ミックスボイスの土台ができていきます。
3. 地声と裏声を統一していく
地声と裏声をまったく別の声として切り替えるのではなく、一筆書きのように「ひとつの声」としてつなげる気持ちで出していくことが、ミックスボイスへの橋渡しになります。
低い音から高い音に移るときに、声の質感がガラッと変わってしまうようなら、息の流れや響き方を見直していく必要があります。
どの高さでも声の色がそろっている状態を目指しながら、「息」「支え」「響き」の三つが連動している感覚を育てていきます。
効果的な発声練習の組み立てを知りたい方は、発声練習の基本と効果的なトレーニング方法|正しい方法で歌が劇的に上達するも役立ちます。
次章からは実践トレーニングをご紹介します。
実践トレーニング:息・支え・響き・つながり
1. 息の流れを整えるトレーニング
ストロー呼吸(細く長く吐く):
細いストローを使い、頬を軽くふくらませて、息を細く長く安定して吐きます。
頬のふくらみは余計な喉締めを防ぎ、口腔内の圧バランスを整えて息の暴走を抑える助けになります。
最初は15秒から始め、慣れてきたら30秒を目標にしていきます。
狙いは「量」ではなく、「揺れない流れ」を体で感じることです。
丹田発声:発音「z」:
歯の隙間から「z」を小さく連続で出し、下腹部周辺(丹田)で息の圧を微調整します。
「z」は息と声の境界にあり、わずかな圧の乱れがすぐ音色に反映されるため、支えの学習に向いています。
メトロノーム60で4拍分、同じ音色を保つことを目安に練習します。
上唇から眉間にかけてのエリアに響きが集まり続けているかを確認しながら行います。
ブレストーン・スライド(息優先のスライド):
最初に「スーーー」と息だけを5〜8秒ほど一定に吐き続け、その途中から息を止めずに「スゥー→ウー」と声を乗せていきます。
そのまま「ウー」の母音で1オクターブ程度の音程変化(ド〜ソ〜ドなど)をゆっくり滑らせます。
声がひっくり返っても止めず、「息が主役、声はその上に乗っている」という感覚を優先します。
2. 喉の力みを抜くトレーニング
あくび感覚スライド発声:
軽く口を開け、実際にあくびをするように「喉の奥がふわっと開く感覚」を味わいます。
そのまま喉を開いた状態を保ち、「あ〜」と静かに声を出します。
低音から中音〜高音まで、1オクターブ以内を「ド〜ド」のようにゆっくりスライドさせます。
声がひっくり返っても構わないので、喉を締めずに最後まで息で流し続けることを意識します。
音程を「当てにいく」よりも、喉が余計に力まない状態をキープすることを優先します。
3. 芯のある裏声を育てるトレーニング
「ウー」の裏声で小さく前に届ける:
口をややすぼめて「ウー」と裏声で発声します。
息を流しすぎず、細くても前に届く感覚を大切にしながら、上唇から眉間にかけてのエリアに響きを集めます。
「ウー」から「アー」へ母音を開いていく:
同じ裏声のまま、「ウー → オー → アー」とゆっくり母音を変えていきます。
音色が広がっても、振動の芯が薄れないように意識し、喉で音を変えるのではなく、響きの広がり方で変化させるようにイメージします。
裏声で高音から低音へスライド:
裏声のまま「高い音 → 低い音」へ滑らかにスライドしていきます。
地声に切り替える直前まで裏声を保ち、低音域でも裏声の芯が残るように意識します。
無理に切り替えず、変化しそうになる瞬間の感覚を観察しながら行うと、地声との橋渡しがしやすくなります。
4. 共鳴ポジションを安定させるトレーニング
ハミングで「上唇から眉間にかけてのエリア」を探る:
唇を軽く閉じて「ん〜〜」とハミングします。
「鼻の奥」だけにこもらせるのではなく、上唇の裏から眉間にかけて、顔の前面に薄く張りつくような振動を探していきます。
「ん〜〜」から母音へ開いてもポジションを保つ:
「ん〜〜」で見つけたポジションのまま、「ん〜〜あ〜〜」「ん〜〜え〜〜」のように母音を開いていきます。
口が開いても響きの位置が下がらず、上唇から眉間にかけてのエリアに集まり続けているかを確認します。
「な」で音階練習:
前に響きやすい「な〜」などの発音で、5度音階(ド〜ソ〜ドなど)を行います。
音程が上下しても、響きの位置は常に眉間方向に保ち、「音の高さは変わるけれど、響きの場所は動かない」状態を目指します。
5. 地声と裏声をなめらかにつなぐトレーニング
地声と裏声を行き来するオクターブ練習:
低い音から高い音までをオクターブでゆっくり滑らせるように発声します。
地声のまま無理に押し上げようとせず、高くなるにつれて裏声の性質に委ねていきます。
裏声に切り替わる瞬間も、丹田の支えが抜けないように注意します。
地声と裏声の両方の性質が自然に繋がっていく感覚を味わいながら、「一筆書き」で声をつなぐイメージで行います。
声のつながりと息の安定を同時に意識する:
息を吐くときに途中で止めず、常に安定したスピードで流すことを意識します。
息の速さや出す量が安定すると、声帯の振動も安定し、声の切り替えもなめらかになります。
急に強く出したくなるところほど、喉ではなく丹田でコントロールする意識を持つことが大切です。
6. 声量アップのためのトレーニング
丹田支えロングトーン:
背筋を立て、肩の力を抜いて立つか座るかして、「あ〜〜〜」と中音域で10秒以上ロングトーンを出します。
響きを保ちながら、息と支えだけで音を前に乗せていくイメージで発声します。
喉や胸に余計な力が入っていないかを、常にチェックしながら行います。
声量を段階的に変える練習:
同じ音で「あ〜」と発声し、小さい声 → 中くらい → 大きめ → さらに大きめと、4段階ほどに分けて音量を変化させます。
声を大きくしても、喉は脱力したまま、支えは丹田、響きは前方という状態をキープします。
音量を上げるときは喉の力ではなく、丹田の支えが深まる感覚で声が前に飛ぶかどうかを確認していきます。
前に抜ける響きで声量を作る:
「ん〜〜」→「な〜〜」と開いていく練習で、響きが眉間方向へ集まり続けているかを意識します。
声量は、「息の支え × 前に抜ける響き」で生まれてきます。
喉に力を集めるのではなく、支えと響きの組み合わせで声を前へ送り出す感覚を育てていきます。
息と支えのつながりを、もう少し丁寧に知りたいときは、丹田を意識して歌が上手くなる!歌唱力を引き出すボイストレーニングもおすすめです。この記事と合わせて読むと、「息・支え・響き」の関係がより理解が深まります。
こうしたトレーニングを続けていくうえで、もうひとつ大切になるのが『どんな気持ちで練習を続けるか』という考え方です。
次章で具体的にみていきましょう。
前向きに練習を続けるための考え方
完璧な声門閉鎖を目指さない
ミックスボイスの練習では、「完璧な声門閉鎖」を目指す必要はありません。
声門閉鎖はあくまで、息の流れや響き、姿勢などの条件が整った結果として起こる現象です。
小さな雑音やムラは、息と響きのバランスが整ってくるにつれて自然に減っていきます。
完璧さを求めすぎると、体が緊張し、喉が固まりやすくなってしまいます。
「軽い声」から始めて感覚を育てる
発声を始めるときは、最初から強い声を出そうとしないことが大切です。
強い声を出そうとすると、喉が反射的に固まり、力んでしまいます。
まずは小さく、軽く、ムラの少ない声で始めるようにしていきます。
軽い声から始めることで、喉や体が自由に動きやすくなり、コントロールできる範囲も広がっていきます。
練習を「感覚の観察」の時間にする
毎日の練習は、「うまくできたかどうか」を判定する時間ではなく、「どんな感覚だったか」を観察する時間だと捉えると、心が少し楽になります。どの瞬間が楽に感じたか、どこで息の流れが不安定になったかなどを、言葉にしてメモしてみるのも良い方法です。
小さな気づきを積み重ねていくことで、自分の感覚を再現しやすくなり、安定した発声への近道になります。
練習を続けるうえで大切なのは、間違ったイメージに縛られすぎないことです。
「こうしなきゃいけない」という思い込みが減るだけで、喉や心の緊張がすっと楽になります。
響きに関する誤解をあらかじめほどいておきたい方は、鼻腔共鳴はいらない!プロが教えるデメリットと誤解の真実も役立ちます。
まとめ|息と響きをそろえて自然なミックスボイスへ
ミックスボイスは、「地声でも裏声でもない中間の声」ではなく、地声と裏声の特徴を統合し、一体化させた声です。
地声の芯や太さと、裏声の柔軟性や高さを同時に保ちながら、喉に過度な負担をかけずに音域全体をつないでいく声、と言い換えることもできます。
そのためには、
・地声と裏声という「素材」を整えること
・息の流れを安定させ、丹田で支えること
・上唇から眉間にかけてのエリアに響きを感じること
・声門閉鎖を「作る」のではなく、自然に起こる条件を整えることが大切になってきます。
息の流れが安定し、響きの位置が安定してくると、声は一本の線のようにつながり、音域全体で音色が統一されていきます。
その統一感こそが、理想的なミックスボイスの姿です。
「自分には無理かも」と感じていた高音も、息・支え・響きを整えながら少しずつ取り組んでいくことで、必ず変化していきます。
焦らず、自分の身体の変化を観察しながら、一歩ずつミックスボイスの世界を深めていってみてください。
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