ミュージカル曲では、普段なら出せる高音でも、長いフレーズや感情の強いところで出にくくなることがあります。練習では出せた高音が、本番で裏返ったり、次に歌うと同じように出せなかったりすることもあります。
なぜなら、ミュージカルの高音は、音の高さだけでなく、言葉、曲の流れ、役の感情も重なるため、声が不安定になりやすいからです。

ただ、高音だけを取り出して練習しても、曲の中では同じように出せないことがあります。
つまり、まずは練習で出せるかだけでなく、曲の中で安定して出せるかを見ることが大切になります。
この記事では、ミュージカルの高音が出しにくい原因と、喉に負担をかけずに練習を進める考え方を順に扱います。

ミュージカルの高音が出しにくい原因

ミュージカルの高音が出しにくい原因は、音の高さだけで決まるわけではありません。曲の中でかかる負担も関係します。長いフレーズ、曲の流れ、感情の強さ、言葉を届ける必要が重なると、声が不安定になりやすいです。この章では、楽曲の負荷、声を使い続ける負担、伝わる高音の要求を順に扱います。

楽曲の負荷が重なる

ミュージカル曲で高音が出しにくくなる大きな原因は、高音を出す前から、長いフレーズ、テンポの変化、転調、感情の強さが重なっていることにあります。長いフレーズが続くと、息を最後まで保つ必要があり、フレーズ後半で息の流れが不安定になりやすいです。また、テンポが変わると、息を流す速さや言葉を出すタイミングも変わるため、声の出し方が乱れやすいです。

さらに、転調や音域の上昇が重なると、声帯の動きも変わるため、息の流れが不安定なまま高音を出すと声が裏返りやすいです。感情の強いところでは、声量や表現を大きくしようとして、喉、首、肩、胸に力が入りやすくなります。特に、長いフレーズの後半で息が少なくなり、そこにテンポの変化や転調が重なると、息を流すタイミングと喉の動きがそろわないまま高音を出す形になります。

その結果、練習で一音だけを取り出したときには出せた高音でも、曲の流れの中では息の流れが不安定になり、同じように出しにくくなります。そのため、高音が出ない原因を一音だけで見ず、高音を出す前のフレーズで息が乱れていないか、上半身に力が入っていないかを見ることが大切になります。ミュージカルの高音は、音の高さだけで判断せず、高音を出すまでの曲の流れ、息の残り方、喉や上半身の力みまで含めて確認する必要があります。

長いフレーズで息が続きにくくなる理由を詳しく知りたい方は、ミュージカルでロングトーンが続かない原因とは?呼吸筋と息のコントロールから改善する方法もあわせてご覧ください。

高音前に声が疲れる

ミュージカルで高音が出しにくくなる理由の一つは、高音を出す前に、すでに長い時間声を使っていることにあります。
ミュージカルでは、一曲を歌うだけでなく、稽古や本番を通して声を使い続ける時間が長くなりやすいです。
短い練習で一音だけなら高音が出せても、通し練習や本番では、その高音を出す前までに台詞、歌、感情の強い歌い方が続いています。

長いフレーズや感情の強い歌い方が続くと、高音を出すころには、声を出す感覚に余裕が残りにくくなります。
さらに、稽古や本番では、同じ場面を何度も確認したり、出番までの待ち時間の後に急に歌ったりすることもあります。
その状態で高音を出そうとすると、声が伸びなかったり、裏返ったり、喉や上半身に力が入りやすくなります。

だから、高音が出しにくいときは、高音そのものだけを見るのではなく、高音を出す前までにどれだけ声を使っていたかを見ることが大切です。そのため、練習では高音だけを切り取るだけでなく、その前のフレーズから歌い、声を使い続けた後でも同じ高音が出せるかを確認します。
高音を出す前までの声の使い方を確認できると、どこで声に余裕が残りにくくなっているかも見えやすくなります。
ミュージカルの高音は、出した瞬間だけで判断せず、高音を出す前までの声の使い方まで含めて確認する必要があります。

伝わる高音を求められる

ミュージカルで高音が出しにくくなる理由の一つは、高音を出すだけでなく、言葉や感情まで客席に届ける必要があることです。
ミュージカルの高音では、音程を合わせながら、歌詞の言葉もはっきり出す必要があります。
さらに、役の感情を強く出そうとすると、声量や表情を大きくしようとして、喉や上半身に力が入りやすくなります。

音の高さだけを意識する発声と、言葉や感情まで届けようとする発声では、声にかかる負担が変わります。
高音で言葉や感情まで届けようとすると、声を強く出そうとする意識が先に立ち、声が伸びにくくなったり、詰まったりしやすくなります。
特に実際の舞台では、客席に届ける必要があるため、音程、歌詞、表情、役の感情を同時に扱う必要があります。

そのため、高音が出しにくいときは、音の高さだけでなく、言葉をはっきり出そうとしすぎていないか、感情を声量だけで出そうとしていないかを見ることが大切です。歌詞の言葉を強く出そうとしすぎると、喉や上半身に力が入り、声が詰まりやすくなります。音だけを当てられても、言葉が聞き取りにくかったり、役の感情が伝わりにくかったりすると、ミュージカルの高音としては成立しにくくなります。ミュージカルの高音は、音程が合っているかだけでなく、言葉や感情が客席に届いているかも含めて確かめることが大切です。

ミュージカル発声の基本を初心者の方向けに知りたい方は、ミュージカル 発声の基本とは?初心者の方がまず身につけるべきこともあわせてご覧ください。

ミュージカルの高音を出す方法

ミュージカルの高音を出すには、音の高さだけを意識するのではなく、声が安定して出る状態を作る必要があります。
この章では、息の流れ、声を前に届ける意識、ミックスボイスへのつなげ方を順に扱います。
具体的な練習方法は次の章で扱い、ここでは高音を出すための考え方を先に一つずつ丁寧に確認します。

息の流れを安定させる

ミュージカルの高音を出すには、まず息の流れを安定させることが大切です。高音を出すときは、声帯が引き伸ばされた状態で振動します。
そのため、息の流れが不安定になると、声帯の振動も不安定になり、声が裏返ったり、詰まったりしやすくなります。
息の流れは、腹横筋、内腹斜筋、外腹斜筋などの呼吸器官が働くことで作られます。

呼吸器官の動きが弱いと、喉頭筋だけで高音を出そうとして、喉に余計な力が入りやすくなります。
丹田や呼吸器官を使えていると、息の流れが安定しやすくなり、喉頭筋もその流れに合わせて働きやすくなります。
ミュージカル曲では、長いフレーズ、感情の強さ、言葉を届ける必要が重なるため、息の流れが不安定になると、高音のところで声が崩れやすくなります。

特に、歌詞をはっきり届けようとしたり、感情を強く出そうとしたりすると、喉、首、肩、胸に力が入りやすくなります。
この状態で音の高さだけを意識すると、呼吸器官と喉頭筋の連動が崩れ、声が伸びにくくなります。
高音が出しにくいときは、喉の状態だけで判断せず、丹田や呼吸器官を使えているかを確認することが大切です。

その確認ができると、高音を出すときも喉だけに頼らず、息の流れに合わせて声を出しやすくなります。
ミュージカルの高音は、喉だけで出そうとせず、丹田や呼吸器官も使えているかを確認する必要があります。

息の流れが続きにくい原因を呼吸筋から見直したい方は、歌で息が続かない原因とは?肺活量や息継ぎだけでなく呼吸筋から見直す発声法もあわせてご覧ください。

声を前に届ける意識を持つ

ミュージカルの高音では、声を前に届ける意識を持つことが大切です。高音を出そうとすると、音の高さばかりを意識しやすくなります。
しかし、少し離れた相手に声を届けようとすると、声を喉だけで作る感覚になりにくくなります。声を前に届ける意識があると、息を使って声を外に出そうとしやすくなり、呼吸器官と喉頭筋が一緒に働きやすくなります。

声を前に向ける意識が弱いまま高音を出そうとすると、息を十分に使えないまま、喉だけで音の高さを作ろうとしやすくなります。
ミュージカルでは、音程だけでなく歌詞や役の感情も客席に届ける必要があります。そのため、声を前に向ける意識が弱いと、声が内側にこもりやすくなり、歌詞や役の感情も客席に届きにくくなります。

高音が出しにくいときは、音の高さだけを意識するのではなく、誰に向かって声を届けているかを確認することが大切です。
客席の奥にいる相手に言葉を届ける感覚を持てると、高音でも声を前に出しやすくなります。ただ、声量だけを大きくしようとすると、喉、首、肩、胸に力が入り、声が前に届く前に不安定になりやすいです。

大きく出す意識が強すぎると、喉や胸に力が入り、声が詰まりやすくなります。まず、少し離れた相手に一語ずつ声を前に届ける意識から丁寧に確認していくことが大切です。ミュージカルの高音では、声を大きく出せているかよりも、声が前に届く感覚を保てているかが大切になります。

声を客席まで届けたい方は、ミュージカルで声量が上がらない原因と上げる方法|舞台で届く声へもあわせてご覧ください。

ミックスボイスにつなげる

ミュージカルの高音では、地声だけで高音を出そうとせず、ミックスボイスにつながる状態を作ることが大切です。地声のまま高音を出そうとすると、声帯を閉じる働きが強くなりやすく、喉に余計な力が入りやすくなります。音が上がるほど声が重くなり、喉、首、肩、胸に力が入りやすくなります。裏声では、声帯を伸ばす働きが使われやすくなります。

スムーズに地声と裏声が切り替わるようになると、高音でも声が裏返りにくくなります。この切り替わりが急になると、地声と裏声の差が目立ち、曲の中で声が不安定になりやすいです。ミックスボイスは、地声と裏声を無理に混ぜて作る声ではありません。呼吸器官と喉頭筋が連動することで、地声から裏声の切り替わりがなめらかになった状態です。そのため、ミックスボイスを特別な声として探すより、地声と裏声がつながる感覚を確認することが大切です。

特にミュージカルでは、歌詞や感情を届けながら高音を出すため、地声だけで押し切ろうとすると声が詰まりやすくなります。高音が出しにくいときは、地声で無理に出そうとするかではなく、地声から裏声に切り替わるところで喉に余計な力が入っていないかを見ることが大切です。地声の強さだけで高音を出そうとすると、息の流れより喉の力が先に出やすくなり、声が伸びにくくなります。

地声と裏声の差を少しずつ小さくすることが、高音を安定させる大切なポイントです。ミュージカルの高音は、地声だけで出そうとせず、地声と裏声がつながる感覚を確認しながら、ミックスボイスにつなげていく必要があります。

ミックスボイスの感覚に迷われている方は、ミックスボイスの感覚が分からなくなる理由とは?もあわせてご覧ください。

ミュージカルの高音を出す練習方法

初心者の方がミュージカルの高音を練習するときは、いきなり高い音から始めるより、楽に出せる音域で声の状態を確認する方がよいです。
この章では、楽に出せる音域から始めること、呼吸を整えること、裏声を鍛えることを順に扱います。高音だけを切り取るのではなく、喉に余計な力が入りにくい状態を確認しながら練習します。

楽に出せる音域から始める

初心者の方がミュージカルの高音を練習するときは、いきなり高音から始めず、まず必ず楽に出せる音域で声の状態を確認することが大切です。楽に出せる音域では、喉、首、肩、胸に余計な力が入りにくく、声が詰まっていないかを確認しやすいです。この音域で声が安定していると、息の流れに合わせて喉頭筋が働きやすくなり、高音を出す準備を作りやすくなります。

楽に出せる音域の時点で喉に余計な力が入っていると、そのまま高音を出したときに、さらに声が詰まったり裏返ったりしやすくなります。高音が出しにくいときは、高い音を何度も出す前に、低音から中音で声が楽に出ているかを見ることが大切です。低音から中音で息が止まらず、声が詰まらず、喉に余計な力が入っていない状態を確認できると、高音でも同じ声の流れを保ちやすくなります。

ただ、高音だけを繰り返し練習すると、音の高さを出すことに意識が集まり、喉、首、肩、胸に力が入りやすくなります。その状態では、息の流れよりも喉頭筋だけで高音を出そうとしやすく、声が安定しにくくなります。最初は小さな声でもよいので、低音から中音で息の流れと喉頭筋の働きがそろっているかを確認します。そのあとで少しずつ音を上げると、喉に余計な力が入りにくくなります。

まずは楽に出せる音域で、声が詰まらないか、息が止まらないか、喉に余計な力が入っていないかを確認してから、高音の練習に進む必要があります。

呼吸を整える

ミュージカルの高音を練習するときは、高音を出す前に、丹田や呼吸器官を意識して呼吸を整えることが大切です。いきなり高音を出そうとするのではなく、まず姿勢を整え、丹田を意識しながら細く長く息を吐き、声に進む前の状態を確認します。このときは、肩が上がらないこと、胸を張りすぎないこと、首だけ前に出ないことを見ながら、息を止めたまま声を出そうとしていないかも確認します。

丹田を意識すると、腹横筋、内腹斜筋、外腹斜筋などの呼吸器官が働きやすくなり、肺から息が流れ出しやすくなります。その結果、息の流れを作りやすくなり、高音を出すときも喉頭筋だけで高音を出そうとしにくくなります。呼吸器官が先に働く準備ができると、声を出したあとも息を使い続ける感覚を保ちやすくなります。

息の流れが安定すると、喉、首、肩、胸に余計な力が入りにくくなり、声帯の振動も不安定になりにくくなります。ただ、ミュージカル曲では、長いフレーズや感情の強いところでも息を使い続けるため、呼吸が不安定なまま高音を出すと、声が裏返ったり詰まったりしやすくなります。高音が出しにくいときは、高音を何度も出す前に、丹田を意識したまま息を吐けているかを確認することが大切です。

胸や肩を大きく動かして息を吸おうとすると、上半身に力が入りやすくなり、高音を出す前から喉も力みやすくなります。まずは喉に余計な力が入らない状態を確認してから声に進む必要があります。

腹式呼吸と丹田の使い方を詳しく知りたい方は、歌うときお腹はへこます?ふくらむ?正しい腹式呼吸と丹田の使い方もあわせてご覧ください。

裏声を鍛える

ミュージカルの高音を練習するときは、地声だけでなく、裏声も鍛えることが大切です。地声は力強さを出しやすいですが、地声のまま高音を出そうとすると、声帯を閉じる働きが強くなりやすく、喉、首、肩、胸に力が入りやすくなります。裏声では、声帯を伸ばす働きが使われやすくなります。

そのため、裏声を練習すると、喉に余計な力を入れずに高い音を出す感覚を確認しやすくなります。高音が出しにくいときは、地声で高音を何度も出す前に、裏声で喉に余計な力が入っていないかを確認することが大切です。小さな裏声で声を出すと、声が詰まらないか、息が止まらないか、喉に余計な力が入っていないかを細かく見やすくなります。

このとき、丹田を意識し、腹横筋、内腹斜筋、外腹斜筋が働き、息の流れが止まらず、呼吸器官と喉頭筋が一緒に働いているかを確認します。
裏声が安定してくると、地声から裏声に切り替わるところで声が急に裏返りにくくなり、ミックスボイスにつながる準備を作りやすくなります。ただし、裏声を強く出そうとすると、裏声の練習でも喉に余計な力が入り、声が細くなったり、息だけが漏れたりしやすくなります。

最初は音量よりも、楽に高い音に進めるか、声が不安定にならないかを丁寧に確認します。まずは小さな裏声から始め、喉に余計な力が入らないまま高い音に進めるかを確認しながら練習する必要があります。

裏声を鍛えると声がどう変わるかを知りたい方は、裏声だけで歌う効果とは?裏声を鍛えることで得られる声の変化もあわせてご覧ください。

まとめ

ミュージカルの高音が出しにくい原因は、音の高さだけが原因ではありません。楽曲の負荷、声を使い続ける負担、言葉や感情を届ける必要が重なることにあります。高音を出すには、息の流れを安定させ、声を前に届ける意識を持ち、地声と裏声がつながる感覚を確認することが大切になります。練習では、まず、いきなり高音を出すのではなく、楽に出せる音域から始め、丹田や呼吸器官を意識して呼吸を整えます。

さらに、裏声を鍛えることで、喉に余計な力を入れずに高い音を出す感覚を確認しやすくなり、ミックスボイスにつながる準備を作りやすくなります。ミュージカルの高音は、音程だけで判断せず、曲の流れ、息の流れ、喉に余計な力が入っていないかまで含めて毎回必ず丁寧に確認する必要があります。

 

大阪でミュージカル向けボイトレをご希望の方はこちら

講師紹介はこちら

ご予約・お問い合わせは、LINE・お電話・ネットから

友だち追加

お電話でのお申し込み・お問い合わせはこちらをタッチ


ネットからのお申し込み・お問い合わせはこちらをタッチ