高い声を出そうとすると喉が詰まって苦しくなったり、思うように声が伸びなかったりした経験はありませんか。
一生懸命頑張っているのに、なぜか高音になるほど喉が固まってしまう――そんな悩みを抱える方は少なくありません。
実は、高音で喉仏が上がってしまう原因は「高い音を出すこと」そのものではなく、音程を喉で取ろうとする誤った身体の使い方にあります。
この記事では、高音で喉仏が上がる原因とその仕組みをわかりやすく解説します。
喉仏の動きが声帯に与える影響や、音程を安定させるための身体と脳の使い方を具体的に紹介します。
さらに、丹田を意識したボイストレーニングによって喉に頼らず自然に高音を出す方法を学べます。
目次
高音で喉仏が上がる理由とその仕組み
喉で音程をとろうとしている
喉で音程を取っていると、高音を出そうとするたびに喉へどんどん力が入っていきます。
その結果、外喉頭筋が過剰に働き、喉仏が引き上げられてしまいます。
喉仏が上がると声帯はどうなる?
喉仏が上がると輪状甲状筋の働きが弱まり、声帯がうまく伸びずに高音が不安定になります。
本来は声帯が自然に伸びて高音を作りますが、喉に力が入るとそのバランスが崩れてしまうのです。
理想は、喉仏が必要最小限だけ自然に動き、力まずに声が安定して響く状態です。
喉に力が入りすぎる
高い音を出すときに、喉仏が上がってしまうのには原因の一つに
「無理に高音を出そうとしていること」があります。
高い音は出しにくいため、つい喉に力が入りがちです。
すると、首のまわりの筋肉が緊張して、喉仏も一緒に上がってしまいます。
息の支えが不足している
また、息の使い方がうまくできていないことも原因です。
お腹の力(いわゆる丹田)を使ってしっかりと息を支えることができないと、喉だけで声を出そうとしてしまいます。
その結果、喉仏が上がってしまいます。
共鳴腔が狭くなる
さらに、口の中のスペース(共鳴腔)が狭くなっていることも関係しています。
舌の位置が高すぎたり、顎が上がってしまったりすると、声の通り道が狭くなってしまいます。
これを補うようにして、喉仏が無意識に上がってしまうことがあるのです。
高音がラクになる考え方を知りたい場合は高音がボイトレで変わる!歌がラクになる3つの発声ポイントが参考になります。
高音が出しやすくなる方法
喉に力を入れすぎない
高い音が出しにくいと感じるのは、体の使い方や声の出し方に原因があります。
まず一番の原因は、「喉に力が入りすぎていること」です。
高音を出そうとすると、無意識に喉をしめてしまい、声が苦しくなってしまいます。
息の支えを強く安定させる
次に、「息の使い方が弱いこと」も関係しています。
お腹からしっかりと息を出す力がないと、声が途中で止まったり、不安定になったりします。
特に高音では、強くて安定した息の流れが必要です。
口の形と姿勢を整える
また、「口の中の形」も重要です。
高い音を出すときは、口の奥の空間を広く使うことが大切です。
舌の位置が高すぎたり、口が小さく開いていると、声がつまってしまい、高音が出にくくなります。
さらに、「姿勢」も高音に大きく影響します。
背中が丸まっていたり、首が前に出ていたりすると、声の通り道がせまくなります。
その結果、声が上にのびにくくなってしまいます。
高音が響きにくいと感じる方は「 高音は出るけど響かない原因を解消する3つのポイントを読むと理解が深まります。
高音が出しにくくなる理由と改善ポイントの振り返り
高音で喉に力が入りやすい理由
高音が出しにくくなる理由を振り返ってみると、まず高い音を出そうとした瞬間に喉に力が入りやすいんですよね。
その力みで喉仏がグッと上がってしまって、声帯がうまく伸びずに高音が不安定になります。
それに、息の支えが弱いと喉だけでなんとかしようとしてしまって、余計に喉仏が上がりやすくなります。
口の中のスペースと高音の関係
さらに、口の中のスペースが狭くなっていると、舌や顎の動きで声の通り道が細くなってしまいます。
そうなると、喉が必要以上に動いてしまって、高音が余計に出しにくくなるんです。
高音を出しやすくするための改善に向けて
改善するには、まず喉に力を入れすぎないことが大事です。
そのうえで、息の支えをしっかり作って、安定した息の流れをキープすることがポイントになります。
口の奥の空間を広く使ったり、姿勢を整えたりすると、声が前にスッと通りやすくなります。
結局のところ、高音は喉・息・口の中・姿勢のバランスが取れてくるほど出しやすくなっていきます。
高音を安定させるには丹田で声を支える感覚が大切です。
丹田発声の基本が知りたい方は 丹田発声について|呼吸法を整えて舞台・歌・話し方が劇的に変わる理由が参考になります。
高音で喉仏が上がらなくなるボイトレ
喉仏を下げようとするのではなく、喉仏が自然に安定する身体の状態をつくることが大切です。
そのための最も効果的な方法が、「丹田発声」をベースにしたボイストレーニングです。
1:リラックス
喉と首の力を抜く準備
まずは、喉と首の余分な力を抜くことから始めましょう。
肩を軽く回し、あごを上下左右にゆっくり動かして脱力します。
このとき、首の前側(喉のまわり)にギュッと力が入らないように注意します。
力を抜いて自然な発声を感じる
口を軽く開けて「あー」と声を出し、息がスッと抜けるような感覚があれば、喉がリラックスできている証拠です。
力を抜くことで、喉仏が自然な位置に戻り、発声が安定していきます。
2:ストロー発声
ストロー発声の基本
ストローを使って「スー」と息を流しながら声を出します。
息の流れを一定に保つことで、喉を使わずに声帯が自然に振動します。
丹田で息を支えるイメージ
このとき大切なのは、丹田への意識です。
息を上に押し上げず、下腹部(丹田)から静かに支えるように吐き出します。
お腹の奥で“息の根”を支えるイメージを持つことで、喉がリラックスし、自然に前へ響く発声ができます。
響きを前に集めて喉を楽にする
ストローをくわえたまま「スーーー」と10秒ほど発声し、そのあとストローを外して「あー」と同じように声を出すと、喉の負担が少なく、響きが前に抜ける感覚をつかみやすくなります。
このとき意識すべきは、鼻の奥ではなく上唇の裏側に響きを集めること。
前方への響きができると、喉仏を上げる必要がなくなります。
3:裏声ボイトレ(HO)
裏声で行う「HO(ホー)」トレーニング
高音を出す練習には、裏声で行う「HO(ホー)」のトレーニングが有効です。
「ホー」と軽く声に出しながら、息を下から支えるように意識します。
輪状甲状筋を柔軟に働かせる
この練習では、裏声を通して輪状甲状筋が柔軟に働くようになります。
輪状甲状筋は声帯を前後に引き伸ばし、高音を生み出す中心的な筋肉です。
無理な力をかけずに裏声を出すことで、この筋肉がスムーズに働き、喉仏を動かさずに自然に高音が出せるようになります。
響きを前方に集めて安定させる
声が上方向ではなく、前方(上唇の裏側)に抜けていくイメージを持ちましょう。
「HO」は丹田の支えと裏声の柔軟性を同時に鍛える練習であり、喉仏が安定する感覚を養うのに非常に効果的です。
4:正しい音程のとり方
1:正しい音程は聴くことから始まる
音程はまず、耳で聴いた音を脳が記憶し、その高さをイメージすることから始まります。
脳が「どんな音を出すか」を明確に描くことで、身体が自然にその高さへ反応します。
たくさん聴き、たくさん歌うことで、音の記憶が積み重なり、音程が安定していきます。
2:声帯と息の連動で実際の音程が生まれる
実際に音を作るのは、喉の外側ではなく内側の声帯と、丹田で支えられた安定した息です。
声帯は輪状甲状筋により細く長くなり、振動が速くなることで高音を生みます。
下腹部(丹田)から支えた息の流れが声帯の働きを安定させ、喉仏を過度に動かさずに滑らかな音程を作ります。
裏声を使った練習は喉仏を安定させるためにも効果があります。
裏声のボイトレの記事裏声だけで歌う効果とは?裏声を鍛えることで得られる声の変化も参考になります。
ボイトレを前向きに行うためのコツ
うまくいかない日があっても大丈夫
高音のトレーニングは、どうしても喉が疲れたり、思ったように声が出なくて不安になることがあります。
でも、高音がスムーズに出るようになるには、筋肉や呼吸の使い方が少しずつ変わっていく時間が必要なんです。
ここでは、喉仏が上がらない発声を身につけるために、毎日の練習を前向きに続けるためのコツをお話しします。
まず大切なのは、「うまくいかない日があっても当たり前」と知っておくことです。
喉まわりの筋肉や息の使い方は、気持ちの状態や体調の影響も受けます。
昨日できたことが、今日は少しやりづらい──そんなことはよくあります。
小さな感覚の変化に目を向ける
次に、練習の基準を「結果」ではなく「感覚の変化」に向けてみましょう。
喉の力みが少し抜けた気がする、息が前に流れた感覚があった、響きが軽くなった──こうした小さな手応えが積み重なるほど、喉仏の安定につながっていきます。
意識の向け方を言葉にして確認する
それから、毎回の練習で「喉ではなく丹田で支える」「響きを前に集める」という意識を短く言葉にして、自分に声をかけながら進めてみてください。
意識の向け方が変わるだけで、喉に入る余計な力が減り、トレーニングが楽になります。
焦らず続けることが一番の近道
そして何より、焦らず続けることが一番の近道です。
丹田発声の感覚や声帯の動きは、毎日の少しずつの積み重ねで確実に変わっていきます。
「今日はここまでできた」と小さな達成を認めながら進めるだけで、喉仏が自然に安定し、無理なく高音が出せるようになります。
前向きな気持ちで続けることで、声は必ず変わっていきます。
ゆっくりで構わないので、自分のペースを大切にして練習を重ねていきましょう。
練習の目安
それぞれの練習を1日5分ずつから始めてみましょう。
喉に痛みや違和感を感じたらすぐに中止し、「息が流れているか」「喉が動きすぎていないか」を確認しながら行うことが大切です。
高音の練習を重ねていくと最終的にはミックスボイスの理解がとても大切になります。
ミックスボイスの本質を整理した記事ミックスボイスとは?ミックスボイスという言葉の実体と本質を徹底解説も役に立ちます。
よくある誤解
「高い音は喉を強く使わないと出ない」という誤解
高音が出にくい人の多くが、実は“誤解”から身体の使い方を間違えてしまっています。
まず多いのは、「高い音=喉を強く使うもの」という思い込みです。
高音を出すときに喉をギュッと締めると、一瞬は音が出ても、声帯が自由に伸びないためすぐに限界が来てしまいます。
本来、高音は喉を強く使うのではなく、声帯が自然に細く長く伸びることで生まれます。
「喉仏は自分で下げるもの」という誤解
もう一つのよくある誤解は、「喉仏を意識して下げようとする」ことです。
喉仏は自力でコントロールするものではなく、身体の使い方が整った結果として“自然に安定する”ものです。
喉仏を無理に下げようとすると喉周りが固まり、かえって高音が出しにくくなります。
高音が出ない原因を誤解してしまいやすい理由
高音が出ない理由を喉のせいにしがちですが、実は身体の使い方の誤解が原因になっていることがほとんどです。
誤解を解いていくことで、喉への負担が減り、自然に高音が出る準備が整っていきます。
まとめ:喉で取らず、下で支える
高音は「喉で頑張る」ものではなく、身体の内側から支えて生まれるものです。
丹田で息を安定させ、喉仏を自然に保つことで、無理なく明るく響く声が出せるようになります。
正しい呼吸と意識を身につければ、あなたの声はもっと自由に、もっと伸びやかに変わっていきます。
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