丹田に力を入れようとしても、どこに力を入れればよいのか分からず、正しくできているのか判断できない方は少なくありません。
感覚がつかめないまま練習を続けると、丹田に力を入れられているのか不安になり、発声練習にも取り組みにくくなります。
本記事では、丹田に力を入れる方法と、力が入っているかを確認するポイントを、初心者の方にも分かるように順を追って解説します。
丹田に力が入らない原因
丹田に力を入れようとしても感覚が分からない方は、まず丹田の位置と、力が入りにくくなる身体の状態を知ることが必要です。丹田に力が入っている感覚は、最初からはっきり分かるとは限りません。ここでは、丹田に力が入らない理由と、練習の最初に確認する感覚を順に見ていきます。丹田が発声で必要とされる理由を詳しく知りたい方は、なぜ丹田はボイストレーニングで重要なのか?も参考になります。
練習の最初は、丹田に力が入りやすい身体の状態を確認し、少し力が入る感覚を見つけることから進めます。
丹田の位置
丹田とは、おへその少し下あたりの位置にあります。身体の中に「丹田」という名前の器官があるわけではありませんが、丹田に力が入っているかを確認するときは、おへその少し下あたりに力が入っているか確認します。
力を入れる場所が曖昧なまま練習すると、お腹の表面や胸、肩へ力を入れてしまいやすくなります。
練習を始める前に、丹田の位置へ手を軽く当てておくと、息を吐いたときに少し力が入る感覚を確認しやすくなります。手で押す動きは加えず、触れた状態で確認します。
丹田周辺の筋肉の働き
丹田の力の入れ方が分からない方は、丹田周辺の筋肉が弱く、力が入っていても感覚として分かりにくいことがあります。丹田周辺の筋肉が十分に働いていない状態では、丹田へ意識を向けても、力が入った感覚をすぐには確認できないことがあります。
そのため、練習の初期段階では、丹田に強く力を入れようとはせず、少し力が入っていることを確認できる状態を繰り返し練習します。
丹田に少し力が入る感覚を一度確認できた場合も、姿勢や息の吐き方が変わると同じ感覚を確認しにくくなります。初期の練習では、同じ手順で丹田に少し力が入るかを繰り返し確かめます。
姿勢と丹田の関係
姿勢が崩れていると、丹田に力を入れようとしても丹田周辺の筋肉が動きにくくなります。背中が丸まっている、胸を張りすぎている、肩が上がっている状態では、喉や胸、肩に余計な力が入りやすくなります。
丹田に力を入れる練習では、丹田だけを意識する前に、上半身に余計な力が入らない姿勢を作ることが必要です。
上半身に余計な力が入った状態では、息を吐いたときに丹田に力が入っているのか、胸や肩の力を感じているのかが分かりにくくなります。姿勢の確認は、丹田の感覚を見つけるための最初の準備です。
丹田に力が入っているかの確認基準
丹田の感覚が分からない方は、最初は丹田に少し力が入っていることを確認できれば十分です。丹田に少し力が入る感覚を確認できれば、次の章で扱う息の吐き方の練習へ進めます。
丹田周辺の筋肉が十分に働くようになった段階では、丹田の動きをより明確に感じられるようになりますが、最初からその状態を基準にする必要はありません。
初期の練習では、息を吐いたときに丹田に少し力が入り、喉や胸、肩に余計な力が入っていない状態を確認します。
丹田に力を入れる方法
丹田に力を入れる練習では、姿勢を整えた後に息を吐き、丹田に力が入っているかを確認していきます。
ここでは、丹田に力を入れるための姿勢と息の吐き方を、順番に行えるように解説します。
丹田に力が入りやすい姿勢
立って練習する場合は、足裏全体を床につけ、身体が前後に傾かない状態で立ちます。足裏の一部だけに体重が偏っていると感じる場合は、両足で床を踏める位置に立ち直します。
座って練習する場合は、椅子に座り、背中を丸めず、上半身が傾かない状態を作ります。椅子の背にもたれたまま行わず、自分で上半身を保てる位置に座ります。
立って行う場合も座って行う場合も、胸を張りすぎず、肩が上がらず、首に余計な力が入っていない状態を確認します。鏡がある場合は、肩の高さと身体の傾きを見ながら確認すると分かりやすくなります。
この姿勢を作ることで、丹田に力を入れようとしたときに、喉や胸、肩に余計な力が入りにくくなります。足元と上半身の位置を一度確認してから、息の練習に進みます。
姿勢の確認では、足裏、身体の傾き、胸、肩、首の順に見ていくと、余計な力が入っている場所を確認しやすくなります。
息を吐く間も、身体が前後に傾かず、肩や胸の位置が大きく変わらない状態を確認します。姿勢を保ったまま息を吐けることが、丹田の感覚を確認するための準備になります。
上半身に余計な力を入れずに軽く息を吐く
姿勢を整えたら、喉や胸、肩に余計な力が入っていない状態で、軽く息を吐きます。最初に一度息を吐き、吐いている間に上半身のどこが動くかを確認します。
息を吐いている間に、肩が上がる、胸が硬くなる、喉に力が入る場合は、上半身に余計な力が入っています。首や肩の位置を確認し直し、同じ姿勢のまま、もう一度軽く息を吐きます。
最初は、上半身に余計な力を入れずに息を吐けることを確認します。息の長さよりも、上半身の状態を保てることを優先します。軽く息を吐くときは、肩と胸の位置が吐き始めから吐き終わりまで大きく変わらないかを見ます。
軽く息を吐ける状態が作れたら、遠くを意識して息を吐く練習へ進みます。丹田の感覚を確認する前に、この状態を作れることが大切です。
数回繰り返しても肩や胸、喉に余計な力が入りやすい場合は、一度息を吐く練習を止め、姿勢を確認してから再開します。
遠くを意識した息の吐き方
上半身に余計な力を入れずに軽く息を吐ける状態を確認した後、少し離れた場所へ息を届けるように、遠くを意識して息を吐きます。目線を前方へ向け、少し離れた場所へ息が届くように行います。
姿勢が整い、上半身に余計な力が入っていなければ、遠くを意識して息を吐いたときに、丹田に力が入りやすくなります。肩が上がる、胸に力が入る、喉に力が入る状態になった場合は、軽く息を吐く段階へ戻ります。
息を吐きながら、丹田に少し力が入っているかを確認します。丹田の位置に手を軽く当てると、息を吐いたときの反応を確認しやすくなります。手は触れるだけにし、息を吐いたときに丹田に少し力が入るかを確かめます。一度の息で判断しにくい場合は、同じ姿勢で数回行い、丹田に少し力が入る瞬間を確認します。
最初は丹田に少し力が入っていることを確認できれば十分です。
遠くを意識したときに喉や胸、肩に余計な力が入る場合は、息を強めず、上半身に余計な力を入れずに軽く息を吐く練習へ戻ります。丹田に少し力が入る状態を保てる範囲で繰り返します。
息を吐くときに呼吸器官がどのように働くのかを詳しく知りたい方は、フースラーメソード徹底解説⑥正しい呼吸と間違った呼吸の違いとは|歌うこと第4章「解剖と生理」3部「呼吸器官」からも参考になります。
丹田の感覚が分からない場合の確認点
遠くを意識して息を吐いても丹田の感覚が分からない場合は、丹田に強く力を入れようとはせず、姿勢と息の吐き方を確認し直します。感覚が分からないまま息を強くすると、喉や胸、肩に余計な力が入りやすくなります。
肩が上がっていないか、胸や喉に余計な力が入っていないか、身体が前後に傾いていないかを確認します。一度にすべてを確認しにくい場合は、肩、胸、喉、身体の傾きの順に確認します。
上半身に余計な力が入らずに軽く息を吐ける状態へ戻り、その後にもう一度、遠くを意識して息を吐きます。丹田に少し力が入る感覚を確認できる状態を繰り返し練習します。
丹田の感覚が小さい場合でも、姿勢を変えずに軽く息を吐ける状態と、遠くを意識して息を吐ける状態を繰り返し確認します。
息を吐くときのお腹の動きをより詳しく知りたい方は、歌うときお腹はへこます?ふくらむ?腹式呼吸の仕組みと正しいお腹の動きを解説が参考になります。
丹田を使った発声練習
息を吐いたときに丹田に少し力が入ることを確認できたら、次は声を出す練習へ進みます。ここでは、息だけで確認した丹田の感覚を、発声でも確認するための進め方を扱います。
喉に余計な力が入りやすい方は、喉で歌わない方法|喉で歌ってしまう原因と改善法も参考になります。
息だけで丹田の感覚を確認する練習
声を出す前に、前の章で行ったように、姿勢を整え、上半身に余計な力を入れずに軽く息を吐きます。軽く息を吐ける状態を確認した後、遠くを意識して息を吐き、丹田に少し力が入っているかを確認します。
息を吐いたときに丹田に少し力が入っていることを確認できた状態から、声を加える練習へ進みます。この段階では、息を吐いている途中で肩が上がっていないか、胸や喉に余計な力が入っていないかも同時に確認します。
息だけの段階で丹田の感覚が分からない場合は、声を加えず、姿勢と息の吐き方を確認し直します。丹田に少し力が入る感覚を確かめられるまで、息だけの練習を繰り返します。
息だけで確認する段階では、声を出す準備を急がず、丹田に少し力が入っていることと、上半身に余計な力が入っていないことを一緒に確認します。
声を加えて丹田の感覚を確認する練習
息だけで丹田に少し力が入っていることを確認できたら、同じ姿勢で短く声を出します。短く声を出したときにも、丹田に少し力が入っているかを確認します。声を出した瞬間に肩が上がったり、胸や喉に余計な力が入ったりしていないかも確かめます。
声を出したときに喉や胸、肩に余計な力が入っていなければ、次は声を少し長く伸ばし、発声中も丹田に少し力が入っているかを確認します。声を長くするほど上半身に余計な力が入りやすくなるため、無理のない長さから始めます。短い声で確認できた場合も、同じ状態を数回確認してから、声を少し長く伸ばす練習へ進みます。
声を長く伸ばしている途中で丹田の感覚が分からなくなった場合は、その時点で息だけの練習へ戻ります。短い声で確認できる状態を繰り返し、その後に声を伸ばす練習へ進みます。
声を長く伸ばすときは、音量を上げることよりも、丹田に少し力が入る感覚と、喉や胸、肩に余計な力が入らない状態を保てるかを確認します。
息の練習から発声へ進む方法は、丹田から声を出す方法|初心者の方が知っておきたい発声の基本で詳しく解説しています。
喉に余計な力が入る場合の対処法
声を出したときに喉や胸、肩に余計な力が入る場合は、声を出す練習を止め、息だけの練習へ戻ります。姿勢を整え、上半身に余計な力を入れずに軽く息を吐き、遠くを意識して息を吐いたときに丹田に少し力が入っているかを確認し直します。
息だけで丹田の感覚を確認できた後に、もう一度短く声を出し、丹田に少し力が入っているかを確認します。声を出す練習を再開する際も、丹田に少し力が入ることを確認できる範囲で行います。
声を出したときに喉へ余計な力が入る原因と改善の進め方は、喉で歌わない方法|喉で歌ってしまう原因と改善法も参考になります。
まとめ
丹田の力の入れ方が分からない方は、姿勢を整え、喉や胸、肩に余計な力が入らない状態で息を吐くことから始めます。上半身に余計な力を入れずに軽く息を吐けるようになった後、遠くを意識して息を吐き、丹田に少し力が入っているかを確認します。
最初は、丹田に少し力が入っていることを確認できれば十分です。息を吐いたときに丹田の感覚を確認できた後に声を加え、発声中も丹田に少し力が入っているかを確認します。声を出したときに喉や胸、肩に余計な力が入る場合は、息だけの練習へ戻り、丹田の感覚を確認し直します。




