高音の練習のためにヘッドボイスの練習をしようとしても、いざヘッドボイス出そうとすると出し方が分からず、戸惑ってしまう方も多いのではないでしょうか。
ヘッドボイスを出そうとした瞬間に喉が固まったり、声が詰まったりして、「これで合っているのだろうか」と不安になり、そのまま練習が止まってしまうケースも多く見られます。

ヘッドボイスが出ないのは、今は発声が崩れていてポイントが掴めていないだけです。
発声が整えば、そのポイントが自然に掴めるようになり、ヘッドボイスも出るようになります。

この記事では、なぜヘッドボイスの出し方が分からないのか、その原因が分かります。
またヘッドボイスとはどんな声なのか、高音で声がどう変わるのかを理解できます。
そして原因を踏まえたうえで、発声をどのように整えていけばよいのか、改善の方向性が見えてきます。

ヘッドボイスの出し方がわからなくなる原因

ヘッドボイスが出ないと感じるとき、多くの人は喉そのものに問題があると考えてしまいます。
しかし実際には、声帯や筋肉ができない状態になっているのではなく、声を出すための条件が整っていないだけの場合がほとんどです。

ここでは、ヘッドボイスの出し方が分からなくなってしまうときに、多くの人に共通して見られる状態を整理していきます。

輪状甲状筋が働きにくい

高音になるにつれて、声帯は自然に引き伸ばされ、薄くなりながら振動します。
このときに関わっているのが輪状甲状筋です。

ヘッドボイスが出ないと感じると、「この筋肉が弱いのではないか」「鍛えなければならないのではないか」と考えてしまいがちです。
しかし、多くの場合、筋肉そのものに問題があるわけではありません。

首や喉、顎まわりに余計な力が入ることで、輪状甲状筋が本来の動きをしにくくなっている状態が起きています。
高音を出そうとする意識が強くなるほど、この傾向は強まりやすくなります。

この状態のとき、本人は「音程が上がりきらない」「喉が引っかかる」といった感覚を持ちやすくなります。
それを解消しようとして、さらに力を足してしまうことで、悪循環に入ってしまうケースも少なくありません。

息の流れが不安定になっている

ヘッドボイスが出しにくい時、息の扱い方が関係していることも多くあります。
高音になると、「息が足りないのではないか」と感じ、無意識のうちに息を無理に強く出そうとする方も少なくありません。

しかし、ヘッドボイスでは大量の息を使う必要はありません。
問題になるのは息の量ではなく、息の流れが途中で変化してしまうことです。

息が急に強くなったり、声を出している途中で止まったりすると、声帯の振動は安定しません。
その結果、声が揺れたり、裏返ったりしやすくなり、ヘッドボイスの感覚がつかみにくくなります。

この状態が続くと、ヘッドボイスは「当たり外れのある声」として記憶され、練習自体が不安定なものになってしまいます。

共鳴腔が広がりにくい状態

ヘッドボイスが出にくいとき、声が喉の奥にこもっているように感じることがあります。
これは、喉や口の中が緊張し、共鳴が十分に広がっていない状態です。

共鳴腔が広がらないまま高音を出そうとすると、声は軽くならず、無理に押し上げるような感覚になります。
その結果、ヘッドボイス特有の抜けやすさや広がりが感じられなくなります。

このとき、「もっと響かせなければ」と考えてしまうと、さらに力が入りやすくなります。
響きを作ろうとする意識が、かえって共鳴腔を狭めてしまうケースも少なくありません。

喉まわりに余計な力が入りやすい

高音に近づくと、無意識のうちに喉、首、顎まわりに力が入りやすくなります。
この力みは、高音を「頑張って出そう」とする意識から生まれることがほとんどです。

喉まわりに力が入ると、声帯の自然な伸びや振動が妨げられます。
その結果、ヘッドボイスに移行する感覚が分からなくなり、「急に声が出なくなる」「裏返る」といった不安につながっていきます。

高音時に喉まわりが固まりやすい理由については 高い声で喉仏が上がる人必見!高い声で喉仏が上がらなくなる5つのボイストレーニング で詳しく解説しています。

ヘッドボイスを知るために押さえておきたいこと

ヘッドボイスの出し方を考える前に、まずは声が高くなるときに体の中で何が起きているのかを知っておくことが大切です。
仕組みを理解しておくことで、練習中の違和感を必要以上に大きく感じずに済むようになります。

ヘッドボイスとはどんな声か

ヘッドボイスとは、高音域で声帯が引き伸ばされ、声帯が振動することで生まれる声です。
特別な声を新しく作り出すというよりも、音が高くなったときに自然に起こる声の変化の一つだと捉えると分かりやすくなります。

無理に強く押し出す声ではなく、音が上へ広がっていくような柔軟さを持っているのが特徴です。
この柔軟さが感じられない場合、どこかで余計な力が加わっている可能性があります。

高音になると声はどう変わるか

音が高くなるにつれて、声帯の振動の仕方は少しずつ変化していきます。
この変化は、誰の声にも起こる自然なものです。

しかし、その変化を「コントロールしよう」「止めよう」と意識しすぎると、声は不安定になります。
高音に入った瞬間に苦しさを感じる場合、変化そのものを拒んでいる可能性もあります。

声が切り替わるように感じる理由

地声からヘッドボイスに移行するとき、声が急に切り替わったように感じることがあります。
この感覚が強いと、ヘッドボイスを怖いものとして避けてしまいがちです。

実際には、声が突然別のものに変わっているわけではありません。
息の流れや喉の状態が変化することで、音の質感が変わり、その差を大きく感じているだけです。

この違いを無理に消そうとせず、行き来しながら慣れていくことが、次のステップにつながっていきます。

高音域で声の質が変わる仕組みは 裏声だけで歌う効果とは?裏声を鍛えることで得られる声の変化 を読むことで理解が深まります。

ヘッドボイスの出し方を整える練習ステップ

ヘッドボイスの出し方を考えるとき、多くの人は「特別な練習方法」を探そうとします。
しかし、ヘッドボイスは特定の動作を覚えることで突然出る声ではありません。

ヘッドボイスは、声を出しているときの状態が整った結果として、自然に現れる声です。
そのため、練習でも「何をするか」より、「どんな状態になっているか」に目を向けることが重要になります。

ここでは、ヘッドボイスを無理なく感じ取るために、声を出す状態を整えていくための練習ステップを順を追って整理していきます。

フォームを整え、余計な力が入りにくい状態をつくる

ヘッドボイスの練習を始める前に、まず体全体の状態を確認します。
体が固まったままでは、声帯や喉の動きも自然に変化しにくくなります。

立った状態で、膝を軽くゆるめます。
膝を伸ばし切らず、少し遊びを持たせることで、体全体の緊張が抜けやすくなります。
骨盤はわずかに開くようなイメージを持ち、腰は反らせず、背骨が自然に立ち上がっている感覚を大切にします。

胸は張りすぎず、落としすぎず、呼吸を邪魔しない位置にあることが理想です。
この段階で「正しい姿勢を作ろう」と意識しすぎると、かえって体が固まりやすくなります。

ここでの目的は、姿勢を完成させることではありません。
声を出したときに、余計な力が入りにくい状態を作ることです。

フォームが崩れているときに起こりやすいこと

フォームが崩れていると、高音に近づいたときに次のような感覚が出やすくなります。
声を出す前から喉が構えてしまう。
音を上げる前に体が緊張する。

この状態では、ヘッドボイス以前に、声の変化そのものが起こりにくくなります。
そのため、まずは声を出す前の体の状態を整えることが、結果的に高音を楽にします。

丹田を意識し、息の流れを安定させる

ヘッドボイスの練習では、息をたくさん出そうとする必要はありません。
むしろ、息を強く出そうとすると、喉まわりに余計な力が入りやすくなります。

ここで意識したいのが、丹田を意識して息を吐いている感覚です。
お腹を大きく動かそうとするのではなく、下腹部の奥から息が流れ続けているようなイメージを持ちます。

声を出している最中に、息が急に強くなっていないか。
途中で止まっていないか。
その流れを静かに観察します。

息の流れが安定してくると、声帯の振動も落ち着き、声が急に揺れたり、裏返ったりしにくくなります。

息の扱いでつまずきやすいポイント

多くの人は、ヘッドボイスが出ない原因を「息が足りない」と考えがちです。
しかし実際には、息が足りないのではなく、息の流れが不安定になっていることがほとんどです。

息を足そうとすればするほど、喉でコントロールしようとする癖が強くなります。
その結果、ヘッドボイスが遠ざかってしまうことも少なくありません。

共鳴腔が自然に広がる方向を探る

ヘッドボイスの練習では、響きのポジションをどこに設定するかがとても重要です。
誤った響のポジションを意識した瞬間に、喉や口の中が固まりやすくなります。

ここではハミングを使い、声がどこに集まりやすいかを探ります。
口を大きく開けず、「んー」という音で、無理のない高さを出します。

そのとき、声が眉間や、おでこにかけてのポジションに自然と集まってくる感覚があれば十分です。

共鳴練習で起こりやすい誤解

共鳴練習をしていると、「正しくピンポイントに響いているかどうか」を判断しようとしてしまいがちです。
しかし、ピンポイントの響きを探そうとすると、体はすぐに緊張します。

実際に眉間やおでこに響が集まっているかを明確に確認する事はできません。

大切なのは眉間やおでこを意識できているかです。

眉間やおでこを意識出来ていれば、喉や口の共鳴腔は狭くならず、ヘッドボイスを出すために必要な輪状甲状筋も意識しなくても自然に動きやすくなるのです。

高音と低音を行き来し、変化に慣れる

ヘッドボイスの感覚が分かりにくい理由の一つに、高音だけを切り取って練習しようとすることがあります。
高音だけを狙うと、どうしても構えが生まれやすくなります。

低めの音から高い音をジャンプし、また戻ってくる。
この行き来を繰り返す中で、ヘッドボイスを出す時の発声のバランスが整っていきます。

声が裏返ったとしても問題ありません。
裏返ること自体は失敗ではなく、声の状態が変化しているサインです。

輪状甲状筋を意識しすぎない

ヘッドボイスの練習では、輪状甲状筋を動かそうと意識する必要はありません。
フクロウの鳴き声をイメージした「HO」の発音なども、筋肉を使うためではなく、自然に輪状甲状筋が動く状態を作るための方法です。

地声とヘッドボイスを交互に出す場合も、切り替えをうまくやろうとする必要はありません。
声が自然に変化する流れを邪魔しないことを優先します。

練習中に感じやすい不安について

ヘッドボイスの練習を始めると、「声が細く感じる」「弱く聞こえる」と感じることがあります。
この段階で声量を無理に足そうとすると、喉に余計な力が入りやすくなります。

まずは軽さや抜けやすさを感じることを優先します。
安定してくるにつれて、自然と声の密度も変わっていきます。

発声時の体の使い方や丹田の意識については 丹田発声について|呼吸法を整えて舞台・歌・話し方が劇的に変わる理由 にまとめています。

ヘッドボイスに関するよくある誤解

強く出そうとする意識

ヘッドボイスは高音域の声であるため、「しっかり出さなければ意味がない」「弱い声ではダメなのではないか」と考えてしまいがちです。
特に、地声でしっかり歌ってきた人ほど、高音でも同じ感覚を求めてしまう傾向があります。

しかし、ヘッドボイスは力を足すことで安定する声ではありません。
強く出そうとした瞬間に、喉や首、顎まわりに余計な力が入り、声帯の自然な変化が妨げられます。

この状態が続くと、高音は常に「頑張らなければ出ない音」として認識されてしまいます。
結果として、ヘッドボイスを使うこと自体に苦手意識が生まれ、練習が遠回りになってしまうことも少なくありません。

最初は軽く、頼りなく感じる声で問題ありません。
その軽さこそが、ヘッドボイスが自然に現れているサインです。

ファルセットとの混同

ヘッドボイスを練習していると、「これはファルセットなのではないか」と不安になることがあります。
声が細くなったり、音色が変わったりすると、別の声に切り替わってしまったように感じやすいからです。

この不安が強くなると、「ファルセットにならないようにしなければ」と考え、喉で声を止めてしまうことがあります。
しかし、音が高くなるにつれて声の質が変化するのは、誰の声にも起こる自然な現象です。

声が切り替わったように感じたとしても、それ自体を問題にする必要はありません。
低音から高音へ、高音から低音へと行き来する中で、その変化に慣れていくことが大切です。

ファルセットについては、
ファルセットと裏声の違い|こんなにも違う!日本と海外の解釈を徹底比較
で詳しく解説しています。

感覚だけに頼る練習

ヘッドボイスは感覚的な声であるため、「正しい感覚をつかまなければならない」と考えがちです。
その結果、練習中に常に感覚を探し続け、小さな違いに振り回されてしまうことがあります。

しかし、感覚は毎回同じように現れるものではありません。
体調や疲労、気分によって、感じ方が変わるのは自然なことです。

大切なのは、感覚そのものよりも、声を出しているときの状態です。
息の流れは安定しているか。
喉まわりに余計な力が入っていないか。
その状態を確認し続けることで、結果として感覚も育っていきます。

高音との向き合い方を見直す

ヘッドボイスの出し方を考えることは、高音との向き合い方を見直すことでもあります。
高音を「越えなければならない壁」として捉えると、どうしても体は構えてしまいます。

高音は、低音から続く声の流れの延長線上にあります。
急に別の声を出そうとする必要はありません。

音が上がっていく中で、声が軽くなったり、抜けやすくなったりする変化を受け入れることが重要です。
その変化を止めようとせず、邪魔をしないことが、結果としてヘッドボイスにつながっていきます。

高音が出ても響きにくい理由は 高音は出るけど響かない原因を解消する3つのポイント で具体的に確認できます。

ヘッドボイスの出し方のまとめ

 

練習は回数ではなく、状態の確認

ヘッドボイスの練習は、たくさん声を出せば上達するというものではありません。
同じ状態にならない練習を繰り返しても、感覚は安定しにくくなります。

大切なのは、毎回の練習で声の状態を確認することです。
息の流れは安定しているか。
喉まわりに余計な力が入っていないか。
その確認を積み重ねていくことが、結果的にヘッドボイスを身近なものにしていきます。

高音に対する考え方を変える

高音を出そうとすると、「頑張らなければならない」という意識が強くなりがちです。
しかし、高音は力で押し上げるものではありません。

声が自然に変化していく方向を受け入れることで、高音は少しずつ楽になっていきます。
ヘッドボイスは、その流れの中で自然に現れる声です。

自分の声の小さな変化に気づく

ヘッドボイスの練習では、大きな変化を求めすぎないことも大切です。
昨日より少し楽に出た。
喉の違和感が減った。
そうした小さな変化に気づけるようになると、練習への不安も減っていきます。

ヘッドボイスは特別な声ではありません。
高音域で声の状態が整った結果として現れる、ごく自然な声の一つです。

 

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