「高音に行くと声がひっくり返る」
「裏声になると急に弱々しくなる」
――そんな経験はありませんか。
一生懸命練習しているのに思うように声が出ないと、不安になってしまいますよね。
実はその原因は、地声と裏声の実はその原因は、歌っている時の地声と裏声の使い方が間違っているからなんです。
そして地声と裏声の違いを理解すれば、声を安定してコントロールできるようになります。
この記事では、まず地声と裏声の仕組みの違いを取り上げ、声の基本を分かりやすく解説します。
次に、両者の音色や響きの感覚の差を紹介し、自分の声の特徴を理解できるようにします。
さらに、裏声が使われる具体的な場面について触れ、歌や日常生活との関わりを示します。
加えて、「裏声は弱い」「地声は喉に悪い」といったよくある誤解を取り上げ、本当のことを説明します。
こうした解説を通じて、地声と裏声をより前向きに活かすためのヒントをお伝えします。
目次
地声とは何か
1. 声帯の仕組み
地声(チェストボイス)は、声門閉鎖が優位に働いている状態です。
主に 甲状披裂筋(TA筋) が強く働き、声帯が厚く・短めの状態になります。
その結果、声帯全体がしっかりと接触し、密度の高い振動が生まれます。
2. 音色の特徴
声門閉鎖が効いているため、地声は芯があり力強い音色になります。
声に“押し出す力”があり、言葉や歌がはっきりと前に届くのが特徴です。
3. 使われる場面
会話や日常の発声はほとんどが地声です。
また、ポップスやロック、演劇のセリフなど、説得力や迫力を求められる場面では欠かせない声です。
より安定した地声づくりの基礎として声門閉鎖の考え方を深掘りしたい方は、仕組みと練習の要点を解説した記事も参考になります。
声門閉鎖のボイトレは必要か?本質から声門閉鎖を考える発声のメカニズム
裏声とは何か
1. 声帯の仕組み
裏声(ファルセット・ヘッドボイス)は、輪状甲状筋(CT筋)が優位に働いている状態です。
この筋肉が収縮することで声帯が前後に引っ張られ、薄く・長くなります。
声門閉鎖は弱まり、声帯の縁だけが軽く触れるような振動になります。
2. 音色の特徴
裏声は、透明感や柔らかさが特徴的です。
声帯が薄く伸びているため、息の流れが多く混ざり、軽やかで浮遊感のある音になります。
3. 裏声が使われる場面
歌では高音を無理なく出すために裏声が使われます。
話し声では驚いたときや感情が高ぶったときなど、無意識に裏声が現れることがあります。
裏声は特別な発声ではなく、日常生活にも自然に組み込まれている声なのです。
裏声の理解をさらに進めたいなら、ヘッドボイスとファルセットの違いを比較した解説が具体例とともに役立ちます。
ヘッドボイスとファルセットの違い|こんなにも違う!日本と海外の解釈を徹底比較
地声と裏声の違いを整理する
1. 生理的な違い
地声と裏声の決定的な違いは、優位に働く筋肉にあります。
地声では声門閉鎖を強める甲状披裂筋(TA筋)が主体で、裏声では声帯を伸展させる輪状甲状筋(CT筋)が主体となります。
この筋肉の優位性の差こそが、両者を根本的に分けるポイントです。
2. 音響的な違い
地声は音に芯があり、前に飛ぶような響きになります。
裏声は空気感を伴い、柔らかく拡散する響きになります。
3. 感覚的な違い
地声は下から支えて押し出すような感覚、裏声は頭部に抜けるような軽さを感じます。
違いを理解したうえで一つの声として滑らかに統合する方法は、ミックスボイスの基礎から学ぶのが近道です。
ミックスボイスとは?ミックスボイスという言葉の実体と本質を徹底解説
よくある誤解とその真実
1. 「裏声は弱い声」という誤解
裏声は確かに声門閉鎖が弱く、初めは弱々しく聞こえることがあります。
しかし、適切な呼吸の支えとトレーニングを行えば、裏声でも十分に力強く響かせることができます。
特にクラシックやミュージカルの発声では、裏声を鍛えて強い響きを持たせることが必須です。
2. 「地声は喉に負担がかかる」という誤解
地声は声門閉鎖が強いため、無理に押し上げれば喉に負担がかかります。
ただし、正しい身体の支えと息の流れを伴えば、地声はむしろ安定した芯のある声として活用できます。
問題は“喉だけに力をかける”ことにあり、地声そのものが悪いわけではありません。
練習の方向性を確かめたい方は、ミックスボイスと声門閉鎖をめぐる誤解を整理した解説が判断材料になります。
ミックスボイスに声門閉鎖は必要? ミックスボイスと声門閉鎖に関する誤解を解く!
まとめ
地声と裏声は「全く別の声」ではなく、声帯の使い方が異なるだけです。
地声は声門閉鎖が優位でTA筋が主体となり、声帯を厚く短く振動させます。
裏声は輪状甲状筋が優位で声帯を薄く長く伸展させ、繊細な振動を生みます。
そして「裏声=弱い」「地声=喉に悪い」といった誤解を取り除き、両者を統合して活用することが大切です。
声帯の働きを知り、息の流れを安定させることで、表現力のある歌声を自在に扱えるようになるでしょう。
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