普段の会話では声が自然に出ているのに、歌おうとした瞬間に声が重くなったり、高い声が苦しくなったり、響きが足りなく感じることはありませんか。
話しているときは特に困っていないのに、歌になると急に「うまく出せない」「別人の声になる」と感じてしまう方は少なくありません。
この違和感から、話し声と歌声はまったく別のものなのではないかと感じてしまうこともあるでしょう。
一生懸命練習しているのに歌だけがうまくいかないと、自分の声に問題があるように思えてしまうこともあります。
けれど実際には、話し声と歌声はまったく別の声ではありません。
話しているときも歌っているときも、声は同じ身体の仕組みで生まれています。
違いが生まれるのは声そのものではなく、声を使う目的と使われ方です。
歌になると声が出にくくなるのは、能力が足りないからでも特別な才能が必要だからでもありません。
話し声では自然に保たれている声の流れが、歌になると崩れてしまっているだけなのです。
この記事では、話し声と歌声がどこで同じで、どこで違って感じられるのかを、声が生まれる全体の流れから整理していきます。
話し声と歌声の目的の違い、声が不安定になるときに身体の中で起きていること、呼吸・響き・声帯がどのようにつながって働いているのかを丁寧に解説します。
それらを理解することで、歌になると別人の声になる、高音だけが急に苦しくなるといった悩みを、感覚ではなく仕組みとして整理できるようになります。
話し声の延長線上にある本来の歌声の捉え方を、分かりやすくお伝えしていきます。
目次
- 1 話し声の目的は「無理なく伝えること」
- 2 歌声の目的は「感情や表現を届けること」
- 3 歌うと急に声が出にくくなる本当の理由
- 4 歌声は新しく作るものではない
- 5 話し声と歌声に共通する「声が生まれる流れ」
- 6 話し声では流れが自然に保たれやすい理由
- 7 歌声では流れの乱れが表に出やすい
- 8 声が不安定になるときに起きていること
- 9 歌声を整えるために必要な視点
- 10 話し声と歌声で違いが表れやすい三つのポイント
- 11 呼吸は「量」ではなく「流れ」で違いが出る
- 12 響きは「作るもの」ではなく「広がるもの」
- 13 声帯は「頑張らせる」と不安定になる
- 14 三つは常に同時に起きている
- 15 話し声の延長線上にある歌声
- 16 まとめ:歌声と話し声の違いは「声の種類」ではなく「使われ方」
話し声の目的は「無理なく伝えること」
話し声は、近い距離にいる相手に言葉や意思を正確に伝えるための声です。
長時間話しても疲れにくく、相手が聞き取りやすいことが最優先されます。
そのため、身体はできるだけエネルギーを使わず、必要最小限の息と動きで声を成立させています。
息の量も最小限で、声帯の動きも大きくは変化しません。
響きも自然に任され、特別に意識しなくても十分に目的が果たせます。
話し声が楽に出るのは、才能や訓練の結果ではありません。
「無理をしない使い方」が、最初から身体に任されているからです。
話し声が疲れにくい理由や、無理のない声の使われ方については 喉で歌わない方法|プロが教える喉が楽になる発声法 で詳しく解説しています。
歌声の目的は「感情や表現を届けること」
一方で歌声は、言葉を伝えるだけでは終わりません。
音程やリズムに乗せて感情や物語を表現し、空間全体に届ける役割を担います。
話し声よりも広い音域が必要になり、声の強弱や長さも大きく変化します。
結果として、息の流れや声帯の振動、響きの作られ方には、より大きな幅が求められます。
ここで重要なのは、「歌声は特別な筋肉を鍛えた人だけが出せる声」ではないという点です。
本来は、話し声と同じ仕組みの延長線上に歌声があります。
歌声に必要な響きや声の広がりについては 共鳴のボイトレで歌が変わる!声が劇的に響くようになる声の響きの向き にまとめています。
歌うと急に声が出にくくなる本当の理由
歌になると声が出にくくなる人の多くは、「歌用の声を作ろう」とした瞬間に、身体に余計な介入が起きています。
高い声を出そうとして喉に力が入ったり、響かせようとして口や顎を固めたり、息を強く吐こうとしすぎたりします。
これらはすべて、「うまく歌おう」とする意識から生まれます。
しかしその意識が、話し声では自然に保たれていた声の流れを乱してしまいます。
話しているときには起きていなかった緊張が、歌になった途端に加わることで、声は本来の動きを失います。
結果として、「話せるのに歌えない」という違和感が生まれます。
歌うときに喉や身体に余計な力が入りやすい背景については 歌っていると声にバリバリとノイズが入る原因と解決方法 が参考になります。
歌声は新しく作るものではない
歌声が話し声と違って感じられるのは、声の種類が違うからではありません。
目的が変わることで、同じ仕組みの使われ方が変化しているだけです。
本来の歌声は、話し声を否定して作るものではありません。
話し声の延長にありながら、息の流れや響きの広がりが自然に拡張された状態が歌声です。
この視点を持つことで、「歌うと別人の声になる」という感覚は、少しずつ整理されていきます。
歌声を無理に作ろうとしない考え方については ビブラートが自然にかかるようになる方法|勝手にかかる状態を再現するための5つのコツ でも触れています。
話し声と歌声に共通する「声が生まれる流れ」
話し声と歌声は目的こそ違いますが、声が生まれる仕組みそのものは共通しています。
声は、身体のどこか一部分が単独で働いて生まれるものではありません。
息の流れ、声帯の振動、響きの形成が連続して起こることで、はじめて一つの声として成立します。
まず、肺から息が送り出されます。
この息の流れが安定していることで、声帯は無理なく振動を始めます。
声帯で生まれた音は、そのままでは意味を持たず、口や喉の空間を通ることで言葉や音色として形づくられます。
この一連の流れは、日常会話でも歌唱でも変わりません。
違いが生まれるのは、それぞれの段階で求められる「幅」と「持続性」です。
声が生まれる仕組みを基礎から整理したい方は 発声練習の基本と効果的なトレーニング方法|正しい方法で歌が劇的に上達する をご覧ください。
話し声では流れが自然に保たれやすい理由
話し声は、短いフレーズを中心に構成されます。
息は必要な分だけ自然に使われ、声帯の振動も大きく変化しません。
響きも、相手に届く最低限が確保されていれば十分です。
このため、身体は無意識のうちに全体のバランスを保ちやすくなっています。
特別に意識を向けなくても、声の流れが途中で止まったり、乱れたりすることは起こりにくいのです。
話し声が楽に感じられるのは、身体が「全体のつながり」を壊さずに使われているからです。
歌声では流れの乱れが表に出やすい
歌声になると、声の流れに対する要求が一気に高まります。
フレーズは長くなり、音程は上下し、声の強弱も大きくなります。
このとき、息の流れが途中で不安定になると、声帯の振動も揺れ始めます。
声帯が不安定になると、響きも整わず、結果として声が前に出なくなります。
多くの人がここで、「どこかをどうにかしよう」と考えます。
喉を開こうとしたり、息を強く出そうとしたり、響きを意識的に作ろうとしたりします。
しかし、これらの対応は、声の流れ全体を整えるのではなく、一部分に意識を集中させる行為です。
その結果、声はますます不自然になり、違和感が強まります。
息と声の流れが乱れたときに起きやすい問題については カラオケで息切れを防ぐ3つのコツ|ボイトレで変わる安定した歌い方の秘訣 で解説しています。
声が不安定になるときに起きていること
歌っている最中に声が詰まる、苦しくなる、高音が出にくくなるといった現象は、声の一部が悪いから起きているわけではありません。
多くの場合、息・声帯・響きの連続性が途中で途切れています。
流れが途切れると、身体はそれを補おうとします。
本来は使われなくてよい喉や首、肩周辺が動き始めます。
この「補い」が繰り返されることで、不要な力が癖として定着していきます。
その結果、話し声では問題がなかった人でも、歌になると急に声が扱いにくくなります。
声帯の働きと安定性の関係については 声門閉鎖と発声の関係を徹底解説 が理解の助けになります。
歌声を整えるために必要な視点
歌声を安定させるために必要なのは、新しい発声法を付け加えることではありません。
声の一部を強化したり、意識的に操作したりすることでもありません。
大切なのは、話し声で自然に保たれている「声の流れ」を、歌の中でも途切れさせないことです。
全体が一つの流れとしてつながっている状態を取り戻すことが、歌声を整える第一歩になります。
呼吸と身体の使われ方を整える考え方については 丹田発声について|呼吸法を整えて舞台・歌・話し方が劇的に変わる理由 にまとめています。
話し声と歌声で違いが表れやすい三つのポイント
話し声と歌声は同じ仕組みで生まれますが、実際の感覚としては大きな違いを感じる人が多いです。
その違いが表れやすいのが、呼吸、響き、声帯の働き方です。
ただし、これらは別々に存在している要素ではありません。
常に一つの流れとして連動しており、どこか一つだけを切り取って考えると、かえって分かりにくくなります。
呼吸は「量」ではなく「流れ」で違いが出る
話し声では、息は必要な分だけ自然に使われます。
短い言葉やフレーズが中心のため、息が途中で止まったり乱れたりしても、大きな問題にはなりにくいです。
一方、歌声ではフレーズが長くなり、息を吐き続ける時間が伸びます。
ここで重要になるのは、息をたくさん使うことではありません。
息の流れが途切れず、安定して続いているかどうかです。
歌になると急に苦しくなる人は、息が足りないのではなく、途中で流れが乱れていることがほとんどです。
その乱れを補おうとして、喉や上半身に余計な力が入り、結果として声が出にくくなります。
呼吸と丹田の関係を整理したい方は 歌うときお腹はへこます?ふくらむ?正しい腹式呼吸と丹田の使い方 を参考にしてください。
響きは「作るもの」ではなく「広がるもの」
話し声の響きは、近距離で相手に届けば十分です。
口や喉の空間は、無意識のまま必要最低限に使われています。
歌声になると、響きが足りないと感じる人が多くなります。
このとき、多くの人は響きを「作ろう」とします。
しかし、響きは意識的に形を作ることで生まれるものではありません。
息の流れと声帯の振動が安定すると、結果として空間が自然に使われ、声が前に広がります。
響きを意識しすぎると、口や喉を固めてしまい、かえって声の通りが悪くなります。
響きは操作する対象ではなく、流れが整った結果として現れるものです。
声帯は「頑張らせる」と不安定になる
話し声の声帯は、比較的狭い音域の中で安定して働いています。
大きな伸び縮みが必要ないため、無理のない振動が保たれます。
歌声では、音域が広がることで声帯の動きも大きくなります。
このとき、「高い声を出そう」と意識しすぎると、声帯の動きに直接介入してしまいます。
声帯は、意識的に動かそうとするほど不安定になります。
息の流れが整っていれば、声帯は自然に必要な動きを選びます。
高音が苦しい人の多くは、声帯そのものが弱いのではありません。
声帯が本来の働きをする前に、別の力が介入してしまっている状態です。
高音で喉に力が入りやすい理由については 高い声で喉仏が上がる人必見!高い声で喉仏が上がらなくなる5つのボイストレーニング で詳しく説明しています。
三つは常に同時に起きている
呼吸、響き、声帯は、それぞれ独立した技術ではありません。
どれか一つを良くしようとしても、他が乱れていれば声は整いません。
歌声が自然に広がるとき、息は安定して流れ、声帯は無理なく振動し、響きは結果として生まれています。
この三つが同時に成立している状態こそが、歌声と話し声の違いを無理なくつないでいるポイントです。
話し声の延長線上にある歌声
歌声は、話し声を否定して作るものではありません。
話し声で保たれている自然な流れを、歌の中でも壊さずに使えるようになることが大切です。
その視点を持つことで、「歌になると別人の声になる」という感覚は少しずつ薄れていきます。
話すように歌うという言葉の本当の意味は、力を抜くことではなく、全体の流れを途切れさせないことにあります。
話し声と歌声の違いを理解することは、特別な歌唱技術を身につけることではありません。
自分の声が本来どのような流れで生まれているのかを知り、その流れを邪魔しない使い方を取り戻すことです。
それが結果として、無理のない高音、自然に広がる響き、長く歌っても疲れにくい声につながっていきます。
まとめ:歌声と話し声の違いは「声の種類」ではなく「使われ方」
話し声と歌声は、まったく別の声ではありません。
どちらも、息の流れが声帯を振動させ、その音が口や喉の空間で形づくられるという、同じ仕組みで生まれています。
違いが生まれるのは、声を使う目的です。
話し声は、近距離で無理なく伝えるための声です。
歌声は、感情や表現を音楽として遠くまで届けるための声です。
目的が変わることで、息の流れの持続性や、声帯の動きの幅、響きの広がり方が変化します。
その変化に対応しようとして、声の一部分を意識的にどうにかしようとすると、流れが乱れ、歌いにくさが生まれます。
歌声が出にくいと感じるとき、多くの場合、声の能力が足りないのではありません。
話し声では自然に保たれていた「全体のつながり」が、歌になると崩れているだけです。
話し声の延長線上で、息の流れを途切れさせず、声帯の働きを邪魔せず、響きが自然に広がる状態を取り戻すこと。
それが、話し声と歌声の違いを理解した先に見えてくる、本来の歌声の整え方です。
この視点を持つことで、
「歌になると別人の声になる」
「高音だけ急に苦しくなる」
といった悩みは、少しずつ整理されていきます。
歌声とは、新しく作るものではありません。
もともと備わっている声の流れを、目的に応じて無理なく広げていくものです。
当教室のボイトレを試してみませんか?

もし、あなたが声のお悩みを改善したいとお考えなら、しかも自分に合った改善方法を知りたいとお考えなら、一度、当ボイストレーニング教室の体験レッスン(40分)に参加してみませんか?
ぜひ一度、当教室のオリジナルメソッド「丹田発声法」をレッスンで体験してみてください。
そして、あなたの声が美しく、または力強く変化するかどうかを、ぜひお試しください。
お申し込み・お問い合わせは・お電話・ネットから




