「発声練習をしても、なかなか歌が上達しない…」。
そんな悩みを抱えていませんか?
実は、発声練習の効果は「どんな練習を、どう行うか」で大きく変わります。
結論から言えば、正しい発声練習の基本を理解し、目的に合ったトレーニングを行うことで、声の響き・安定感・表現力は格段に向上します。
この記事では、発声練習の基礎となる呼吸や姿勢のポイントから、初心者でも実践できる効果的なトレーニング方法までを詳しく解説します。
読み進めるうちに、「ただ声を出す練習」から「声を育てる練習」へと変わる、確かなステップが見えてくるでしょう。
目次
発声練習とは?正しい目的と基本の考え方
発声練習の目的を明確にする
私たちは、知らず知らずのうちに発声のバランスを崩しています。
例えば、長時間同じ姿勢で過ごす生活や声を抑える場面の多さ、疲れた状態でも声を使わなければならない状況などが重なることで、発声のバランスは少しずつ崩れていきます。
発声のバランスが崩れたまま声を出そうとすると、発声をフォローしようとして喉に余計な力が入りやすくなります。この状態が繰り返されることで、喉に余計な力を入れて声を出す出し方が、発声の悪い癖として身についていきます。
喉に余計な力が入った状態では、高音が出にくくなり、声量も上がらず、喉への負担が大きくなります。
その結果、声がかすれたり、喉や声帯に不調が起こりやすくなります。
発声練習の目的は、崩れてしまった発声のバランスを整え、喉に余計な力が入らない状態を取り戻し、無理なく歌いやすい声へ導くことです。
発声の悪い癖は、簡単には取れない
発声の悪い癖は、簡単には取れません。
それは、発声の悪い癖が一時的なものではなく、長年の声の使い方の積み重ねによって定着しているからです。
多くの場合、喉に力を入れて声を出す発声は無意識のうちに行われており、自分ではその癖に気づきにくい状態になっています。
また、仮に悪い癖に気づいたとしても、その原因が分かりづらいことが少なくありません。
そのため、悪い癖を原因がわからないまま直そうとしても、しばらくすると元の出し方に戻りやすくなります。
喉に力が入る発声は、繰り返すほど身体に定着しやすく、表面的に喉の使い方だけを修正しようとすると、かえって別の力みが生まれてしまうことも少なくありません。
発声のバランスが整えば、悪い癖は自然に取れていく
発声の悪い癖の原因は発声のバランスが崩れている事です。
発声のバランスが整ってくると、喉で無理に声を出す必要がなくなります。
喉に余計な力を入れなくても声が出る状態へと少しずつ変わっていくため、これまで定着していた発声の悪い癖は、自然に改善されていきます。
発声が安定するにつれて、楽に声が出せる発声があなたにとって当たり前の発声となり、悪い癖のある発声は自然と選ばれなくなります。その結果、発声の悪い癖は、自然に解消されます。
呼吸と響きの関係をもっと深く知りたい方は、声がどう変わるのかを丁寧にまとめた記事も参考になります。 丹田を使うと声はどうなる?
正しい目的と基本の考え方を押さえたうえで、次は実際の発声にどう活かすかという「3つの基本」へ進んでいきます。
正しい発声のために必要な3つの基本
姿勢を整える:重力に逆らわない自然な立ち方
姿勢は発声練習の土台です。頭頂から軽く引かれる感覚で首の後ろを長く保ち、胸や肩に余計な力を入れないことが大切です。
骨盤は前後に倒しすぎず、足裏全体で床を感じ取ります。この配置ができると胸まわりが自由になり、息の出入りがスムーズになります。
呼吸を整える:息の流れを安定させる腹式呼吸
吸うときは肩を上げず、下腹部や背中側がゆっくり広がる感覚を大切にします。
吐くときは下腹部が静かに内側へ戻る自然な収縮で息を前へ送り、途中で止めないことがポイントです。
急激に強く吐くのではなく、一定のスピードで保つことで声帯の振動が安定し、無駄な力みが抜けていきます。
共鳴を意識する:声を響かせる空間を作る
共鳴は口腔と咽頭腔を中心に整えます。
あくびをこらえるように喉の通り道を確保し、上唇から眉間にかけてのエリアへ声を運ぶイメージを持つと、音色が明るくなり輪郭がはっきりします。舌根に力が入ると通り道が狭くなるため、舌先を上の前歯の付け根付近に軽く触れる位置で安定させると良好です。
腹式呼吸がうまくいかないと感じる方は、呼吸の仕組みをやさしく解説したこちらの記事も参考になります。 歌うときお腹はへこます?ふくらむ?正しい腹式呼吸と丹田の使い方
発声に必要な三つの基礎が揃ったところで、次はそれらを実際の練習に落とし込み、声を育てていくための具体的なステップへ進んでいきます。
効果的な発声練習のステップ
ウォームアップ:喉を傷めない準備運動
歌う前の準備は短時間でも効果があります。
唇や舌の軽いトリルで息の連続性を確認し、低い音域から中音域へと無理なく滑らせます。
首や顎のストレッチは強く引っ張らず、可動域をゆっくり確かめる程度にとどめると、喉周りの余計な緊張を防げます。
ハミング練習:共鳴と息の流れをつなぐ
口を軽く閉じ、歯を噛みしめずに唇の前で振動を感じながらハミングします。
息が止まると音が詰まるため、声より息の通り道を意識して前へ運びます。
鼻に押し込むのではなく、口腔内で柔らかく響きを支えると音色が均一になり、母音発声への移行が滑らかになります。
母音練習:声の芯を整えるトレーニング
日本語の母音は音色の土台です。
口の形を過剰に広げず、上下の距離と舌の形で響きを整えます。
子音を付ける前に純粋な母音だけで声の芯を作ると、言葉を乗せたときも明瞭さが保たれます。
「ア・エ・イ・オ・ウ」を使った響きの確認法
中音域で「ア・エ・イ・オ・ウ」を均一な息のスピードでつなぎ、音色の差が大きくならないようにします。
特に「イ」と「エ」で喉が締まりやすい場合は、上唇の内側に向けて声を送る感覚を加えると通りが良くなります。
録音して聴き返し、母音間の明るさと太さが揃っているかを確認すると変化が掴みやすくなります。
音階練習:音程と喉のコントロールを鍛える
滑らかな五音スケールから始め、半音ずつ音域を広げます。
上がる音で顎が前に出たり、喉仏が持ち上がる感覚が出たら、息の方向を前方へ保ち直し、響きのスペースを失わないようにします。
下がる音では息のスピードが落ちやすいため、最後まで一定に保つと音程が崩れません。
もっと響きを安定させたい方は、共鳴を整えるポイントをまとめた記事も役立ちます。 共鳴のボイトレで歌が変わる!声が響くようになる3つのポイント
具体的な練習ステップを押さえたあとは、それらをより効果的に進めるために、練習中に特に気をつけたいポイントへ目を向けていきます。
発声練習で気をつけたいポイント
無理な大声を出さない
大きさよりも質を優先します。短時間で急に声量を上げると、喉頭周囲の筋緊張が強まり、翌日に違和感が残ります。
よく通る声は、響きと息の均一性から生まれます。
息の流れを止めない
音の途切れは多くの場合、息の停止が原因です。フレーズの途中でも息のレーンを途切れさせず、語尾まで同じスピードで送る意識が安定感を生みます。
喉で出さず、身体で支える
声は喉で作るのではなく、身体全体で支えます。
下腹部まわりの安定と背中側の広がりを感じながら発声すると、首や肩の力みが抜け、長時間歌っても疲れにくくなります。
喉に力が入りやすい方は、喉を守りながら歌うコツをまとめた記事がとても参考になります。 喉で歌わない方法|プロが教える喉が楽になる発声法
発声練習で注意したい点を押さえたうえで、次はそれらを日常の中で無理なく続けていくための具体적なコツをご紹介します。
発声練習を日常に取り入れるコツ
毎日5分でも継続する重要性
長時間の不定期な練習より、短時間でも毎日の積み重ねが声を変えます。
朝や入浴後など呼吸が整いやすい時間帯に同じルーティンを行うと、身体が学習しやすくなります。
録音や動画で自分の声を客観的に確認する
耳だけの自己評価には限界があります。スマートフォンでの簡単な録音でも、息の途切れや母音のばらつきが把握できます。
日付ごとに残すと変化の軌跡が見え、練習の方向修正もしやすくなります。
プロの指導で自分の癖を見直す
自己流では気づきにくい癖や緊張のパターンは、第三者の視点で早く見つかります。
特に高音や長いフレーズでの違和感は、息のコントロールや共鳴の調整で大きく改善することが多いため、定期的なチェックが有効です。
普段の練習をもっと心地よく続けたい方は、丹田を使った声づくりを初心者向けにまとめた記事もおすすめです。 丹田発声で声が変わる!初心者向け・艶やかで魅力的な声のつくり方
日常での取り組み方を押さえたところで、次は発声練習でつまずきやすい誤解について整理し、より正確に声を育てていくための視点へ進んでいきます。
よくある誤解|間違った発声練習が声を遠回りさせる理由
発声練習は続ければ誰でも上達しますが、間違った前提で練習してしまうと、かえって喉に力みが増えてしまうことがあります。
ここでは、特に初心者の方が抱きやすい代表的な誤解を整理します。
「大きな声を出す=上達」と思ってしまう
声量を上げようとすると、多くの人が喉に力を入れてしまいます。
実際に必要なのは大声ではなく、息の流れが安定し、口腔と咽頭腔で響きが整った声です。
響きが育つと、喉を強く使わなくても自然に通る声になります。
「息を強く吐けば良い声になる」という思い込み
息を強く吐くほど、声帯は過剰に強く閉じてしまうことがあります。強い息=強い声、ではありません。
必要なのは、音の途中で止まらない安定した息の流れです。ゆっくり吸い、一定で前に送り続けられる呼吸が、声帯の振動を安定させます。
「喉を鍛えると歌がうまくなる」という誤解
喉の筋肉を意識して“頑張って出す”ほど、響きが狭まり疲労が残りやすくなります。
良い声は喉の力ではなく、丹田を意識した呼吸と、身体全体のバランスによって支えられます。
喉だけで声を作ろうとすると、発声の土台が不安定になります。
「母音ごとの音色の違いはしょうがない」と思ってしまう
「イ」や「エ」で喉が締まるのは自然現象ではありません。息の流れや共鳴のスペースが変わることで音色差が生まれています。
上唇から眉間にかけてのエリアへ声を運ぶ意識を加えると、母音間のバラつきが減り、音域も安定します。
「毎日長時間やらないと意味がない」ではない
長時間の練習は、途中で姿勢や呼吸が崩れやすく、力みの癖を生みやすい方法です。実際に効果が出るのは、 短時間でも毎日継続すること。
身体が“安定した発声のパターン”を覚えるためには、正しい負荷をこまめに積み重ねる方が効率的です。
発声に関する誤解をもっと整理したい方は、プロが実際に多い誤解をやさしく解説した記事が役立ちます。 鼻腔共鳴はいらない!プロが教えるデメリットと誤解の真実
まとめ|発声練習は「声を鍛える」ではなく「声を育てる」時間
正しい基礎を身につけることで歌声が劇的に変わる理由
姿勢・呼吸・共鳴の三本柱が揃うと、声帯の振動が安定し、少ない力でよく響く声に変わります。
結果として音程とリズムが整い、言葉の明瞭さが増し、表現の幅が広がります。基礎への投資は、すべてのレパートリーで回収できます。
発声練習を通して、自分だけの響きを育てていく
毎日の小さな習慣が、あなたの歌の個性を磨きます。
息の流れを途切れさせず、無理のない共鳴で声を前へ運ぶことを続ければ、録音での手応えや本番での安心感が確かな形で積み上がります。
発声練習は、今日のベストを明日に繋げるための静かな準備です。
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